小惑星 「Iruma」 誕生

 

ページ番号1005760  更新日 平成29年3月8日 印刷 

小惑星8924番は国際天文学連合より「入間」と正式に命名されました。

小惑星Iruma

 世界で最初に発見された小惑星は、1801年1月1日、イタリアの天文台で発見され、その天体にはイタリアの女神の名前が付けられました。その後、ギリシャ神話の神々の名前や天文学者の名前が付けられ、やがて地名や人名が使われるようになりました。

天体の命名について

星の名前は世界的な取り決めがあります

夜空の星に自由に好きな名前を付けることは世界的に認められませんが、国際ルールにのっとった手続きをふめば、その星に限って名前を付けることができます。
世界の天文学者たちがつくる組織に国際天文学連合(International Astronomical Union:略称IAU)があります。
本部はフランスのパリにあり、天文学を極める博士号を持つ学者の集まりですが、天文学全般にわたる組織は巨大なので、いくつもの委員会に分かれて活動しています。その第20に「小惑星、彗星及び衝星の位置と運動」という小委員会があり、小惑星の命名は、この中の命名委員会の審査を経て、国際天文学連合の名のもとに全世界に公表されます。

児童センター職員が発見・命名した小惑星

  • (7851)Azumino=1996YM2
    1996年12月29日、発見者の愛する故郷、長野県北西部の3,000メートル級の峰々が連なる北アルプス連峰の東に広がる豊かな水田地帯、「安曇野(あずみの)」からの命名です。
  • (8581)Johnen=1996YO2
    1996年12月28日、発見者が同年夏、北アルプス常念岳(2,857メートル)に単独日帰り登頂したのを記念に命名しました。常念岳は槍ヶ岳と並び日本の美しい名山の一つです。

小惑星No.8924『入間』(Iruma)命名まで

写真6

この惑星は、米国カリフォルニア州にあるパロマー天文台で、1960年10月17日に最初の観測が行われ、同天文台が複数回の観測を行い国際天文学連合(注1)から仮符号を与えられてましたが、軌道計算が不正確であったため、追跡出来ずに以後行方不明になっていました。この小惑星(Iruma)は火星と木星の間、アステロイドベルト太陽から約4億キロメートルの軌道上にあり、約3年6か月で公転します。

                 (写真:久万高原天体観測館 中村彰正)

  1. 1996年12月
    • 1996年12月14日に佐藤が自ら所有する秩父天体観測所(国際的な公認観測所:天文台コード369)で一夜(点)目を観測し、追跡を開始する。(パロマー天文台の観測以来36年振りの観測)
    • 1996年12月19日の二夜(点)観測による直線軌道データを、翌20日に国際天文学連合に報告し、国際天文学連合から仮符号1996 XA32を付与される。
    • 同月29日に三夜(点)目を捉え、星の楕円軌道計算に成功し、翌日国際天文学連合へ報告する。(一応「発見」と言える状況)
  2. 1998年6月 国際天文学連合において、1996 XA32の完全な楕円軌道の確認がなされたため、この星にNo.8924の登録番号が付与され、命名権を佐藤が取得した。(命名権は、番号登録以後10年間有効・パロマー天文台の観測以来38年振りに確定)
  3. 1999年8月 国際天文学連合に対し、No.8924を市民へのクリスマス・プレゼントにしたいため、『入間』(Iruma)の命名を申請する。(自らインターネットで国際天文学連合へ手続き)
  4. 1999年9月 国際天文学連合から、小惑星No.8924に『入間』(Iruma)の命名が承認される。9月28日付けの天文台広報冊子(注2)にその旨が掲載される。(パロマー天文台での最初の観測以来、実に39年の月日が経過して、名前が付けられたことになる。パロマー天文台など世界の7ヶ所の天文台が観測した)
  5. 1999年10月 天文台広報冊子が船便で各国天文台へ配布され、これが到着した時点で正式発表となる規約があり、国内発表はこれ以後可能となる。この天文台広報冊子が自宅に届いたのは入間万燈まつりが行われていた10月24日であった。

(注1)国際天文学連合=IAU(International Astronomical Union)
(注2)天文台広報冊子=MPC:The MINOR PLANET CIRCULARS

入間市職員が『星』をプレゼント!

天文台で

 大昔から、明るい星にはその星ごとに名前が付けられています。天体(小惑星)に自分の好きな名前を付けるためには、今まで誰も見つけていない星を発見して、その天体の固有運動を決定しなくてはなりません。明るい星は名前が付いているので、誰も見つけていない暗い天体を探し、その星の軌道を研究して国際的に承認されると名前を付けることができます。
 1996年12月14日秩父天体観測所で発見されたこの天体は、1960年アメリカのパロマー天文台で観測され、その後見失った小惑星です。約3年6か月の公転周期で太陽の周りを回っている小惑星「入間」は12月に発見されたことから、クリスマス・プレゼント用として大切に研究した星です。この星の大きさは、おおよそ入間市と同じ位の広さと思われます。

星に名前を付けるまでの長い道のり

入間市児童センター:佐藤直人

無限の広がりを持つ宇宙には、さまざまな種類の天体があります。長い間、その天体を観測し続けると、ごく希に新天体発見のチャンスに恵まれることがあります。こうして発見した天体が小惑星の場合、一定の手順を踏めば、その星に地名や人名などの名称を付けられることが、国際的ルールで認められています。
彗星や超新星は見つけたその時点で発見とみなされますが、小惑星の場合は、その天体を見つけたとしても発見とは言いませんし、名前もつきません。この辺の事情は大変わかりにくいので、後ほど魚の生長を例としてお話ししてみます。なお、新星・超新星発見の場合はデータとして発見者の名前は記録されますが、天体そのものには、名前は付かない約束になっています。
海に住む回遊性の魚“ブリ”は、関東地方では、「モジャコ」「ワカシ」「イナダ」「ワラサ」そして「ブリ」と生長の過程に応じてその呼び方が変わっていきます。小惑星命名の過程はこのブリの名前が変わることと似ています。
それでは、この魚と私の場合の観測内容とを関連づけてみましょう。

  1. モジャコ級
    関東地方では、晴天率と透明度の関係から、冬季期間が天体観測の好機になります。冬の深夜、氷点下の天文台で観測し測定したデータから、たまたま新天体が見つかる場合があります。
    この段階では、捕まえた稚魚がやがて生長するとブリになる可能性があるので、「モジャコ」に相当する星といえます。私はこれまでに、約1,000匹余りの「モジャコ」を捕まえ、自分の生け簀に移しました。しかし、この生け簀に稚魚を放しても、共食いする魚も出てきますし、何かの原因で死んでしまう稚魚も沢山いるのが現状です。
    観測者の善し悪しは、この稚魚をいかに成魚に育てるかにかかってきます。小惑星は移動天体ですから、一晩の観測で得られた複数のデータから移動の内容を分析して、次の観測にそなえる必要があります。
  2. ワカシ級
    たとえブリの稚魚を捕まえたとしても、移動天体ですからそのままではすぐに行方不明になってしまいます。ですから、どちらの方向へどの位の速度で、どの位の明るさなのかを自分で確認観測する必要があります。つまり、1つの移動天体を二晩かけて観測しなくてはなりません。二晩とは、モジャコを捕まえた次の晩でも、次の次の晩でもかまいません。しかし、二夜の間隔があけばあくほど行方不明になる可能性が高くなります。また、他人の「モジャコ」をうっかり自分の生け簀に入れてしまうミスも起こります。二夜の観測があって、それが1つの移動天体(小惑星)であると自分が確証すると、国際天文学連合に報告し、計算結果や測定精度が条件を満たしていれば、その天体に仮符号が与えられます。もし、他人の小惑星ならこの時点でキャンセルされ、次の「モジャコ」捜しに天文台へ向かうことになります。
  3. イナダ級
    こうして国際天文学連合より仮符号が与えられると、小惑星の存在が認められたわけですから、将来「ブリ」になる可能性が高くなります。「ワカシ級」では2夜の観測なので、その移動天体の空間的な軌道は直線状になります。一方、太陽系の天体は楕円軌道に沿って移動するのが原則ですから、「イナダ級」になると、楕円軌道を算出するための三夜以上の追跡観測が行われます。私の場合、天文台が遠方にあり、天候や月齢、仕事の都合さらに体力・気力などの問題で、三夜観測できる日数はとても少なくなります。
    運よく三夜目の観測が行われ楕円軌道を算出すると、過去に人類が観測してきた200万を越える膨大な観測記録の中から、同じ星がないかどうかコンピュータでチェックすることができます。
    ここで、過去に同じ星の楕円軌道が算出されていると、この「イナダ級」の星は他人の持ち物となります。幸いにして、過去に重なる記録がなければ、将来この星は発見者の物になる可能性が非常に大変高くなります。私の場合、イナダが100匹から150匹位いるということになるでしょうか。
  4. ワラサ級
    この段階になると、観測した内容から正確な楕円軌道を算出することが要求されます。この段階、つまり「ワラサ級」の魚が生きるか死ぬかは、いかに正確な軌道を作成するかにかかってきます。もし、その後の追跡観測や軌道計算で、より正確無比な軌道を出す人がいれば、例え自分の見つけた小惑星であっても他人の星になってしまいます。その逆に、自分が他人の星を観測し、不完全な楕円軌道を修正し正確な楕円軌道を出せば、自分の星になる場合もあるわけです。
  5. ブリ級
    小惑星もこの段階までくれば、もう安全です。子どもの頃からの夢であった、『星に名前を付ける』事がやっとできます。私はこのブリを120匹以上(2006年末)飼っていますが、既に10匹 以上のブリには名前を付けました。いくつかの関所を越えて、正確な軌道を出し、その後修正の必要がないと判断したとき、国際天文学連合はその天体に番号登録をします。あわせて、今までの業績を讃え、発見者にこの天体に命名する権利を与えます。しかし、命名権が与えられるまでにはたいへん長い年月がかかり、4年から5年からもっと長ければ50年位かかってしまうものさえあるほどです。そのため、時には、観測者死亡という事態が生じ、ハイデルベルグ天文台やフランスのニース天文台で観測された小惑星は、命名権を放棄している例が多く見られます。
    私の場合も、自分の関与した小惑星の全てが「ブリ」という成魚になるまでを見届けることは、おそらくないでしょう。また、「ブリ」という魚にも寿命があるように、命名権が与えられても、名前をつける期間が番号登録発表後10年間と決められています。このように、いくつかの厳しい条件をクリアして天体に名前が付くと、その星は未来永劫に人類の財産となって、私たちの夢を乗せて太陽の周りを公転し続けます。

このページに関するお問い合わせ

こども支援部 青少年課 児童センター
〒358-0001 埼玉県入間市向陽台1-1-6
電話番号:04-2963-9611 ファクス:04-2963-9612
お問い合わせは専用フォームをご利用ください。