お茶文化を未来へつなぐ

更新日:2024年10月03日

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“入間らしさ”である狭山茶を後世へつなぐために

「狭山茶の主産地 入間市」では、地域の強みを活かし、狭山茶とふれあう教育を市内すべての市立小・中学校で行っています。

入間市において、狭山茶は重要な特産物であり、産業です。日常的に急須でお茶を淹れて飲む人は少なくなっており、市内の茶業者は減少傾向、状況は厳しいものとなっています。一方、意欲的に生産や商品開発に取り組む事業者もおり、市全体で狭山茶を盛り上げ、市民の誇りでもある狭山茶と文化を後世へつないでいくための取り組みを行っています。令和4年10月1日に施行された「おいしい狭山茶大好き条例」は、市民が魅力と感じる狭山茶の振興を図り、茶文化を後世へつないでいきたいという思いから制定されたものです。

「狭山茶の主産地 入間市」では、地域の強みを活かし、狭山茶とふれあう学習を学校教育の中に取り入れています。学校、市茶業協会、市内茶業者をはじめとした産官学が連携し、子どもの頃から狭山茶に親しむことで、郷土愛をはぐくみ、入間市の特産物である狭山茶と文化を後世へつないでいます。

狭山茶の主産地 入間市での「狭山茶とふれあう教育」

入間市の教育理念「豊かな人間性の育成」のための基本目標「ふるさと入間を愛する子どもの育成を図る」に基づき、「狭山茶とふれあう教育」を実施しています。

入間市内のすべての小・中学校では、茶摘みや茶作りの体験・茶工場見学、一人ひとりが点前を習得する茶道学習、博物館茶室での茶席体験などの体験活動を通じて、郷土についての理解と愛着を深める学習を行っています。

狭山茶とふれあう教育の推進

市内の小学校で狭山茶の体験学習を実施

全16の小学校では、立地条件などにより差こそあるものの、3年生になると茶摘みや手揉み茶体験、工場見学など狭山茶の体験学習を多くの学校で実施しています。

市内すべての中学校で「盆点前」学習を実施

全11の中学校それぞれに講師を招き、「盆点前」学習を実施しています。

「盆点前」学習のねらい

  1. ふるさと入間への誇りを育てる
  2. 礼儀、作法、もてなしの心などの日本人としての心を育てる
  3. 国際社会の中での日本文化のよさへの理解を育てる

実際に学習を終えた生徒からは「狭山茶が地場産業であることを改めて認識できた」「和に触れて心が落ち着く時間を感じることができた」等の感想が寄せられています。また、市内小・中学校の両方を卒業した学生へ、「狭山茶とふれあう教育」に関するインタビューをしたところ、次のような声が寄せられました。

市内小・中学校の両方を卒業した学生の声

  • 茶摘み体験、博物館アリットの見学、盆点前はよく記憶に残っている。
  • みんなが知っている(飲む)「お茶」を使って教育をすることはすごいと感じる。
  • 地域の産業や行事に触れる体験を通じ、地域とのつながりを実感できた。
  • 地域のことを思ったり、礼儀作法や人格形成にもつながると思うので、将来にもこの教育を残していきたい。
  • 自分自身も地域に貢献したいという想いが芽生えた。

実際に学習を終えた生徒や、卒業生の声からも、お茶の産地だからこそできる学びの機会を通じて、「入間市に住んでいてよかった」「大人になってまた戻ってきたい」という郷土愛を感じてもらえていることがわかります。

学校独自のプログラムも

上藤沢中学校 全校茶摘み体験

上藤沢中学校 全校茶摘み体験

市立上藤沢中学校では、毎年新茶の時期に全校茶摘み体験学習が行われます。これは、35年前から続く学校の伝統行事です。生徒会役員の生徒たちが、茶摘みのやり方を全校生徒に伝え、学校近くの茶畑に移動し、一斉に茶摘みを行います。

茶畑オリエンテーリング

茶畑オリエンテーリング

手揉み茶体験

手揉み茶体験

学校によっては、茶畑を活用した「茶畑オリエンテーリング」、手揉み茶体験(中には、※焙炉(ほいろ)を使った本格的なものも)なども行っています。

※焙炉(ほいろ)とは、手もみ茶製造時に使う作業台です。下部にヒーターを備え、上に滑りのよい和 紙が張られており、この上で茶葉をもんで乾燥させます。

地元茶業者の協力で実現

入間市内の狭山茶業者の多くが、全国的にも珍しい「自園・自製・自販」を行っている。

入間市内の狭山茶業者の多くが、全国的にも珍しい「自園・自製・自販」を行っている。

入間市内に800近くある茶業者の多くが、全国的にも珍しい「自園・自製・自販」(六次産業:一次、二次、三次産業を一貫して行う産業形態のこと)を行っています。これらの強みを活かし、限られた学習時間の中でさまざまな企画が誕生しました。

これらの企画は、子どもたちや地域のために協力してくれる、市茶業協会や、市内茶業者などの関係機関との連携により実現しています。

移動手段や学習準備の担い手不足などの課題も

学校によっては茶畑まで距離が離れていて移動手段が確保できず、一部の小学校では茶摘み体験が実施できていません。また、全中学校でおこなう「盆点前」学習など事前準備を伴う学習は保護者ボランティアの協力のもと実現しています。しかし、職員や保護者ボランティアの負担、講師の高齢化などから稼働を確保することが年々難しくなっている現状もあります。実際に教育を受けた学生の目線からみても、教員だけでこの教育を続けていくことは難しいと感じており、未来を見据え、入間市ならではの「狭山茶とふれあう教育」をどのような形で続けていくか、将来へ残していくかが課題となっています。

「狭山茶とふれあう教育」を通じて

市内の小・中学校に通う、児童・生徒がこれらのプログラムを通じて、地域の中での社会的な関わりや、生まれ育った土地への理解を深め、「狭山茶の主産地 入間市」というだけでなく「さまざま歴史をたどり、自分の地域に根ざす未来に残したい文化、『狭山茶』がある入間」という新たな価値を創造し、ウェルビーイングにつなげていきます。

該当するシンボリックアクション

シンボリックアクション

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