1 予算編成の考え方
令和5年第1回市議会定例会において、令和5年度当初予算関係議案のご審議をお願いするに当たり、予算編成の考え方と施策の概要を申し述べ、 議員各位並びに市民の皆様のご理解とご協力をいただきたいと存じます。
我が国経済は、新型コロナウイルス感染症(以下「感染症」という。)の発生から3年が経ち、コロナ禍からの社会経済活動の正常化が進みつつあり、緩やかながらも持ち直しが続いております。その一方で、ロシアによるウクライナ侵攻を背景とした国際的な原材料価格の上昇や、円安の影響などによるエネルギー・食料価格の高騰など、我が国経済を取り巻く環境は厳しさが増しております。
こうしたことから、国は、昨年10月28日「物価高・円安への対応」、「構造的な賃上げ」、「成長のための投資と改革」を重点分野とする「物価高克服・経済再生実現のための総合経済対策」を閣議決定し、足元の物価高から国民生活と事業活動を守り抜くとともに、景気の下振れリスクに先手を打ち、我が国経済を民需主導の持続的な成長経路に乗せていくという方針を示しており、その裏付けとなる令和4年度第2次補正予算の迅速かつ着実な実行による効果が期待されるところであります。しかしながら、一方では欧米各国の金融引締めによる世界的な景気後退懸念が高まっているなど、経済の先行きに対する見通しは不透明であり、市財政への影響も懸念されることから引き続き注視していく必要があります。
こうした中、本市の令和5年度予算編成に当たり、歳入面においては景気が穏やかな回復基調にあることなどから、市税については増額を見込みました。また、新たな財源の確保策として企業版ふるさと納税を計上し、適債事業には市債を最大限活用することで必要額の確保を図りました。歳出面においては、市民サービスに著しい低下が生じないよう配慮した上で既存事業のゼロベースでの見直しを図りつつ、緊急性と重要性に応じた優先順位により事業選択を行い、経費の調整を図りました。
その結果、投資的経費としては、限られた財源の有効配分に留意し、地区センター施設改修事業、西武中央保育所改修工事、道路等整備事業、武道館・弓道場改修工事など市民の安全、生活利便性の確保に向けた事業を中心に推進してまいります。特に、入間市駅北口土地区画整理事業は、事業の更なる推進を図るため積極的な予算配分を行いました。社会保障関連経費では、国民健康保険事業の安定的な運営を図るために法定外繰出金の措置を講じるなど必要な予算を確保し、「元気な子どもが育つまち」を目指した各種事業については継続発展させ、子ども・子育て支援の更なる充実を図ることとしました。その他、新産業用地創出事業、パークPFI事業の推進、DX(デジタルトランスフォーメーション)による公共サービスの利便性向上、2050年カーボンニュートラル(脱炭素)に向けたGX(グリーントランスフォーメーション)の取組など、SDGs未来都市として本市の将来を見据え、取組の強化が必要な事業についても着実に実施していくこととしました。
また、感染症対策については、特段の事情が生じない限り、5月8日から5類感染症とする方針が示されましたが、未だ収束が見込めない状況にあることから、令和5年度の行財政運営も現時点では予測できない影響が生じることも予想されます。そのため、必要な施策、事業については、国・県との連携を図りながら、随時、適切な対応が図れるよう柔軟な運営に努めてまいります。
2 予算の規模
令和5年度の各会計別の当初予算案は、ただいま申し上げました基本的な考えのもとに編成し、一般会計の総額は、前年度対比6.7%増の480億1,000万円としました。
特別会計については、国民健康保険特別会計及び介護保険特別会計が保険給付費の伸びなどにより、後期高齢者医療特別会計が被保険者数の増などによりいずれも増額となり、また、入間市駅北口土地区画整理事業特別会計では、入間市駅北口駅前広場の早期開設に向けて事業進捗を図るなど、扇台土地区画整理事業特別会計を含め事業を着実に推進いたします。この結果、特別会計の総額を前年度対比5.4%増の312億3,837万3千円としました。
これにより、一般会計と特別会計を合わせた予算総額は、前年度対比6.1%増の792億4,837万3千円となりました。
なお、水道事業会計は前年度対比11.8%減の46億8,918万1千円、下水道事業会計は前年度対比2.7%減の35億9,350万6千円としました。
3 歳入の概要
それでは、歳入の概要として歳入予算の主なものをご説明申し上げます。
市税は、景気の動向及び国の経済見通しなどを勘案して計上しました。県税交付金及び地方交付税は、前年度の交付実績や国の「地方財政対策」を勘案し、国庫支出金及び県支出金は、対象事業の交付基準などにより計上しました。市債は、臨時財政対策債を見込むとともに、適債事業を十分に精査した上で最大限の活用を図り計上しました。さらに不足する財源については、財政調整基金から19億6,500万円を繰り入れることにより補てんしました。なお、財政調整基金の繰り入れ後の残高は約21億円と見込んでおりますが、公共施設整備基金に2億円の積み増しを計上していることから、両基金を合わせた残高としては、約37億円となる見込みです。
この結果、歳入予算の内訳としては、市税216億3,448万9千円、地方消費税交付金36億円、地方交付税27億1,800万円、国庫支出金73億9,598万3千円、県支出金31億9,639万5千円、市債36億1,630万円、その他58億4,883万3千円としました。
4 施策の概要
続いて、歳出について、第6次総合計画に掲げる施策の大綱ごとに、重点施策の概要を申し上げます。
始めに、「つながりを大切にしたまちづくり」について申し上げます。
人権施策の推進については、市民一人ひとりが互いを尊重し合い、平和で差別のない社会の実現を目指し、各種啓発事業及び相談体制の充実を図ります。また、パートナーシップ・ファミリーシップ宣誓制度を推進し、性的マイノリティの方への理解促進を図ります。
男女共同参画の推進については、「第5次いるま男女共同参画プラン」に基づき、働く女性・働きたい女性の支援を推進するなど、様々な分野で女性が活躍できる環境を整備します。
コミュニティ活動の推進については、地区センターを拠点として地域コミュニティの中核を担う各区・自治会及び市民活動団体を支援し、市民が主役のまちづくりを推進するとともに、多岐にわたる地域課題の解決を目指します。
また、外国人市民がより生活しやすくなるよう「やさしい日本語」を活用して情報提供を行うとともに、相談体制の充実を図り、地域のコミュニティ活動などへの外国人市民の参加を促進するなど、多文化共生社会の推進を図ります。
国際交流の推進については、感染症の状況に配慮しつつ、姉妹都市訪問団の派遣・受け入れを行うなど、国際交流協会と連携して様々な事業を推進します。
次に、「学びあいのまちづくり」について申し上げます。
生涯学習の推進については、市民一人ひとりが生涯にわたって、いつでも、どこでも、主体的に学び続けることができるよう、学習情報の提供や学習機会の充実を図ります。
学校教育については、3つのキーワードを設定し、教員と児童生徒の信頼関係を深め学力の向上と教育DXを目指します。1つ目、相手を大切にし、相手を受け入れ聴き合う関係づくりに必要な「聴く力」を育成します。2つ目、自分の考えや気持ちを誰に対しても安心して発言できる心理的安全性のある学校を目指し、課題に対して主体的に挑戦し「探究力」を高められる学習環境の実現を図ります。3つ目、「やりきる力」で小さなプラスの体験を積み重ねることにより、自己肯定感と自己管理能力を高め、自ら調整する力を育成し、個別最適な学びと協働的な学びの充実を図ります。
不登校対策については、教育センター内で実施しているひばり教室での体験やタブレット端末を活用した補充学習を生かし、児童生徒の学校復帰の支援をします。また、保護者や教職員に対しては、専門家による研修会や講演会を開催し、家庭・学校を支援します。
子ども未来室事業については、児童発達支援センター「うぃず」との連携による保幼小の接続や本市の特色である小中一貫教育・中高連携を推進し、小1プロブレムや中1ギャップの解消を図ります。また、ユニバーサルデザインの視点を取り入れた教育を展開し、誰にでも分かりやすい授業づくりや教育活動を充実するとともに、教育と福祉と保健の連携をさらに推進します。
学校施設については、校舎及び屋内運動場のトイレ改修工事を計画的に実施し、児童生徒が快適に安心して学べる教育環境の整備に努めるとともに、教職員用トイレについても計画的に改修工事を実施し、職場環境の向上に努めます。また、老朽化した校舎外壁などの改修工事を計画的に実施し、施設の長寿命化を図ります。
犯罪抑制対策として、学校敷地内に防犯カメラを計画的に設置し、児童生徒の安全確保に努めます。
学校給食については、地産地消に取り組むとともに、厳選された旬の食材を使用し、食材の持ち味を生かすよう手作りによる調理を実施します。また、学校給食衛生管理基準に基づく保菌検査など各種検査の実施、老朽化した給食調理機器などの更新により、安全で栄養バランスの取れたおいしい給食を安定的に提供します。
社会教育については、人権問題講演会などの学習機会を通じて人権教育の推進に取り組みます。また、学校・家庭・地域が連携・協働し、地域の教育力の向上を図ります。
公民館では、住民同士が生活課題や地域課題を解決するために、自立・協働・創造に向けて主体的に学ぶことができる多様で魅力的な学習機会の提供に取り組みます。また、コーディネート力を発揮し、住民同士の絆を結ぶ地域づくりを促進します。
放課後子ども教室については、地域住民の参画を得て、就学児童の多様な学習・体験が行える放課後の居場所として全ての小学校区で実施します。
博物館では、指定管理者との連携を強化して展示やイベントを充実させ、積極的に事業をPRすることで博物館への誘客を図ります。また、旧黒須銀行の復元修理工事に着手し、貴重な文化財の保存を図るとともに、地域の活性化を促進します。
図書館では、快適な読書環境の維持管理を図るとともに、市民ニーズにあった図書館資料の提供に努めることにより、誰もが利用しやすいサービスの提供と充実を図ります。
生涯スポーツの推進については、学校、地域及び団体などと連携し、スポーツ・レクリエーション事業の充実を図り、市民の健康づくりを支援します。また、安心・安全な体育施設を提供していくために、武道館・弓道場及び運動公園プールの改修工事を計画的に進めます。
《新たな取組》
令和4年度にモデル校で実施したコミュニティ・スクールを市内全中学校区で展開し、学校運営の改善及び児童生徒の健全育成を目指します。併せて、地域と学校が連携・協働する地域学校協働活動の体制構築に取り組みます。
西武地区の中学校統合に向け、互いの理解を深め協働意識の醸成を図るため、生徒の交流事業を実施します。また、子どもたちが安心して通学できるよう、通学時の安全対策について関係部署などと連携して対応を図ります。
学校給食センターの更新に向け、基本設計及び実施設計に取り組みます。
次に、「ささえあいのまちづくり」について申し上げます。
地域福祉については、引き続き「第3次入間市地域福祉計画」の推進を図りながら、「第4次入間市地域福祉計画」の策定に取り組みます。地域での暮らしを支えるための基盤整備を進めるとともに、社会福祉協議会と連携し、ささえあい活動などの地域福祉活動を支援します。また、「総合相談支援室」の機能を拡充し、相談者の属性を問わない包括的な相談支援体制の構築に向け、引き続き取り組みます。
生活支援については、生活困窮者自立支援事業を推進し、生活困窮者の自立に向けた支援の充実を図ります。また、生活保護の適正な実施と、生活保護世帯の自立助長に努めます。
子ども・子育て支援については、「入間市子ども・若者未来応援プラン」に基づき、施設型給付、地域型保育給付を行うとともに、子育てに悩む保護者などに寄り添う地域子育て支援拠点における利用者支援事業の拡大、公設民営学童保育室の検証や民間学童保育室の支援を計画的に進め、地域子ども・子育て支援事業を推進します。また、「公共施設マネジメント事業計画」に基づく公立保育所整備事業として、西武中央保育所の長寿命化のための大規模改修工事を実施します。
児童発達支援については、切れ目のない支援体制を確立するため、教育・発達支援システムを導入し、教育と福祉で個別に管理されていた支援情報の共有化と、ライフステージに合わせた適切な支援体制を整備します。
子育て世代包括支援センター「いるティーきっずとよおか」においては、産前・産後ケア事業の利用対象時期をこれまでの出産後4か月から1年まで延長し、利用者が安心して子育てができる環境を整備します。
高齢者支援については、「入間市第9次高齢者保健福祉計画」に基づき、要援護者等支援事業などを実施するとともに、「入間市第10次高齢者保健福祉計画」の策定を行い、援護が必要な高齢者の生活の安定と介護者負担の軽減を図ります。
障害者支援については、「入間市障がい者福祉プラン」に基づき、基幹相談支援センター及び相談支援センターりぼんなどが連携し、障害のある人の自立した生活を支援するとともに、就労支援センターりぼんを中心に就労支援、職場定着支援などを行っていきます。また、次期「入間市障がい者福祉プラン」の策定を行い、障害のある人も地域で安心して暮らせる社会の実現に向けた障害者福祉施策を推進します。
母子保健施策の推進については、妊産婦及び乳幼児の心身の健康の保持を図るために妊婦・乳幼児の各種健康診査を実施し、支援の必要な方の早期発見に努めるとともに、不妊治療費助成金の対象年齢を拡大し、妊娠を望む方々を支援します。
健康づくりの推進については、「第3次健康いるま21計画」に基づき、健康な地域づくりを推進するとともに、健康寿命の延伸を目指し、健康診査、がん検診の受診率の向上及び健康教育の充実を図ります。
初期救急医療体制については、狭山市と協同で一週間を通じた準夜間帯における初期救急患者への診療を実施します。
《新たな取組》
地区センターにおいて実施する「福祉総合相談窓口」では、関係課所などとICTを活用した連携を図り、市民の身近な相談窓口として地域福祉の向上に努めます。
高齢者の外出モチベーション向上について、実証実験の結果を踏まえ、実証運行に取り組みます。
ヤングケアラーへの支援については、ヤングケアラーコーディネーターの配置により、潜在化しやすいヤングケアラーの把握に努め、関係機関と連携して適切な支援に取り組みます。また、地域福祉団体とともに、子どもの居場所づくり活動を支援します。
全ての妊婦・子育て世帯が安心して出産・子育てができる環境を整備し、妊娠期から子育て期までの切れ目のない支援の強化を図るため、伴走型相談支援及び出産・子育て応援給付金の一体的事業を実施します。
予防接種については、帯状疱疹とそれに伴う合併症の予防を支援するため、新たに帯状疱疹予防接種費用助成事業を実施し、市民の健康保持・増進に取り組みます。
次に、「住みやすく緑豊かなまちづくり」について申し上げます。
入間市駅前側留保地については、多くの市民が集まり入間市の顔となるような賑わいのあるまちを目指して、新たな「ジョンソン基地跡地留保地利用計画」に基づき、より具体的な土地利用計画の策定に取り組みます。
道路については、上藤沢・林・宮寺間新設道路(第3工区)の用地取得を引き続き進めていきます。また、安川新道線については、前年度に引き続き街路築造工事を実施します。
舗装補修事業、橋りょう補修事業については、「舗装補修計画」、「橋梁長寿命化修繕計画」に基づき計画的に実施します。
新産業用地創出事業については、圏央道青梅インターチェンジ北側の地域における工業系土地利用の形成に向けた取組を推進します。
コミュニティバス(てぃーろーど、てぃーワゴン)をはじめとする地域公共交通については、「入間市地域公共交通計画」に基づき、引き続き持続可能な公共交通を目指します。
自然環境の保全・活用については、管理を市民と行政との協働で推進するとともに、(仮称)加治丘陵さとやま自然公園の用地取得を引き続き進めていきます。
生活環境の維持と保全については、「第三次入間市環境基本計画」に基づき環境負荷の低減に向け、単独処理浄化槽やくみ取り便槽から合併処理浄化槽への転換を推進し、生活排水による河川の水質汚濁防止に取り組みます。
《新たな取組》
公園については、引き続き施設の適正な維持管理に努めるとともに、パークPFIの活用など公園の質の向上や公園利用者の利便性の向上を図るための事業に取り組みます。
ゼロカーボンシティの推進については、「入間市地球温暖化対策実行計画」に基づき、市民・事業者の行動変容を促進するため、官民連携によるEVシェアリングや行動変容アプリの活用など市民向けサービスを実装します。また、再生可能エネルギー活用設備を設置する市民向けの補助を実施します。さらに、ゼロカーボン協議会を通じた地域新電力の誘致・創出に取り組みます。
ごみ処理については、ごみの減量・資源化を徹底するため、プラスチックごみの一括回収など資源化の拡充並びに質の向上に取り組みます。
次に、「活気に満ちたまちづくり」について申し上げます。
農業の振興については、「おいしい狭山茶大好き条例」に基づき、さらなる狭山茶の消費促進及び販路拡大に努め、茶業の振興を図るほか、農畜産物の地産地消や環境保全型農業を推進します。また、農業基盤の強化のため、農地中間管理事業などにより担い手への農地集積を引き続き進めます。
商業の振興については、入間市商工会や商店街などを支援し、賑わいのあるまちづくりのため、空き店舗活用に取り組みます。また、ウィズコロナ時代の地域経済の活性化に努めます。
工業の振興については、市内企業の発展につながる支援及び企業誘致戦略に基づき企業誘致を行います。また、地域課題の解決に向けて新たな産業の支援・創出に取り組みます。
雇用の促進については、相談体制を充実させ、入間市ふるさとハローワークとの連携や就職面接会の実施などにより地域雇用の促進を図ります。
中小企業の経営基盤を強化するため、引き続き入間市商工会や入間市金融団、市の三者で連携して事業者支援に取り組みます。
市民文化の振興については、新しい生活様式を踏まえ、入間市最大のイベントである入間万燈まつりを、市民と行政の協働のまちづくり事業として実施します。また、文化施設において、文化芸術による地域の魅力やまちづくりを発信します。
《新たな取組》
農業研修センターへ農業用灌水施設を設置し、里芋の灌水対策に取り組みます。
観光の振興については、本市の地域資源である金子台の茶畑の景観を活かした「茶畑の景観活用事業」において、狭山茶を五感で堪能できる体験型観光を実施するとともに、狭山茶のブランド力の向上を図ります。また、入間市観光協会と連携した取組により、観光誘客を強化します。
次に、「安全で安心してくらせるまちづくり」について申し上げます。
様々な危機に備え、危機管理体制の充実を図ります。
防災対策としては、令和5年4月に改訂する「入間市地域防災計画」に基づき、近年多発している風水害に備え、避難所開設を中心とした実践的な防災訓練や中学生への講習会を実施するとともに、災害が発生した際に避難行動要支援者の円滑な支援につながる個別避難計画の作成に関係機関・団体と連携して取り組みます。
消防については、安定的な消防力を維持するため、引き続き埼玉西部消防組合との連携協力体制の強化に努めます。また、非常備消防体制の強化に向け安定した消防団活動を行うため、深刻化する消防団員の不足を解消するために団員の処遇をさらに充実させるとともに、女性消防団員を含めた消防団員の加入につながる広報活動に努めるほか、第1分団第2部(豊岡地区)に消防車ポンプ自動車を更新整備します。
感染症対策については、引き続き国・県と連携して対策事業を着実に進めます。また、緊急かわら版発行事業については、感染症に関する情報など早急にお知らせしたい内容を広報いるま号外として随時発行し、市民への情報提供に努めます。
空家等の対策については、「第2次入間市空家等対策計画」に基づき、空家等の周辺の生活環境の安全が確保された安心して生活ができるまちの実現に努めます。
交通安全の推進については、「第11次入間市交通安全計画」に基づき、交通死亡事故の撲滅を目指します。また、関係機関・団体と連携し交通安全教育や啓発活動に取り組むとともに、交通安全施設の整備による交通安全対策に努めます。
防犯対策については、警察などの関係機関・団体と連携し、地域防犯活動を支援し、市民の防犯意識の高揚を図ります。特に、依然として多発している特殊詐欺について、積極的に防止対策を推進します。
また、「入間市犯罪被害者等支援条例」に基づき、犯罪被害者及びその家族の支援を推進します。
《新たな取組》
防災対策として、地区センターと避難所の通信連絡体制の整備や防災士の養成など防災体制の強化に努めるとともに、マンション管理組合向けの講習会を実施します。
次に、「計画の実現に向けて」について申し上げます。
市公式ホームページを情報発信のハブとし、さまざまな情報媒体の特性を活かして、市政の情報や本市の魅力を広く発信します。
市が保有する個人情報などの取り扱いに細心の注意を払うとともに、情報セキュリティ対策を徹底し、情報セキュリティの確保を図ります。
マイナンバーカードの普及を促進するとともに、「行かなくて済む市役所」の実現に向けて、行政手続のオンライン化を充実させるなど、ICTを活用した市民サービスの向上を図ります。
協働の推進については、多様化する地域課題を市民や団体の連携により解決できる支援体制の構築に向けて、地域では地区センターが拠点となって、市民活動センターでは中間支援組織が市民活動団体と連携して取り組み、「住みよいまちづくり」の実現を目指します。
行財政運営については、引き続き厳しい状況が続いておりますが、「第6次入間市総合計画・基本構想」を実現するための「第6次入間市総合計画・後期基本計画」に基づく各種施策・事業の着実な実施に向けて、限られた財源を有効活用するとともに、財源確保を図ります。また、「入間市行政改革大綱・第2期実行計画」の基本理念である「行政サービスの最適化」を目指すため、個別改革進行プランにより行政改革を推進し、安定した行政運営と充実した行政サービスの提供を図ります。
公共施設については、適切な形で将来世代に引き継いでいくことを目的とする公共施設マネジメントの取組を推進します。「入間市公共施設マネジメント事業計画」に基づき、将来を見据えた各施設の再整備・再配置・維持管理について、引き続き市民の意向を踏まえながら着実に進めます。また、新庁舎等整備事業については、官民連携(DBO)手法による整備に向けた設計業務に着手します。
5 特別会計・水道事業会計・下水道事業会計予算概要
次に、特別会計、水道事業会計及び下水道事業会計の概要について申し上げます。
国民健康保険特別会計
国民皆保険の基盤である国民健康保険制度については、埼玉県国民健康保険運営方針に基づき、令和9年度から県内の保険税水準の準統一を図り、持続可能な医療制度の確立を目指すこととしており、その実現に向けて、県内各市町村が取り組んでいます。
令和5年度の国民健康保険特別会計の予算総額は、前年度対比2.4%増の144億7,705万 9千円となりました。
歳入のうち国民健康保険税は、被保険者の減少などに伴う減収の見込みから、前年度対比 4.7%減の29億9,621万7千円としました。また、一般会計繰入金は前年度対比91.7%増の11億2,974万5千円としました。
歳出のうち保険給付費は、被保険者数が減少しているものの、一人当たりの医療費が増加していることから、前年度対比1.3%増の101億6,091万8千円を見込みました。また、県が保険給付費として、市へ交付する普通交付金の財源のうち、市負担分である国民健康保険事業費納付金については、前年度対比6.0%増の40億6,124万8千円となりました。
なお、法定外繰入金については、県内保険税水準の準統一に向けた取組として、令和2年度から繰り入れずに事業運営してきましたが、保険税の減少及び保険事業費納付金の増加により、事業予算の財源調整として繰り入れざるを得ないことから4億6,761万円を見込みました。
令和5年度の国民健康保険事業は、非常に厳しい運営が想定されることから、今後も県との連携により、各種保健事業の推進に向け取り組み、事業の健全化・安定化を図ってまいります。
後期高齢者医療特別会計
後期高齢者医療制度は、平成20年4月の制度開始から15年が経過し、現在では広く市民に定着した制度として安定的な事業運営を行っています。
特別会計の内容としては、市が収納した後期高齢者医療保険料などを後期高齢者医療広域連合納付金として支出することを主な事業としています。
令和5年度は、高齢化の進展に伴う被保険者数の増加により、予算総額は前年度対比4.1%増の23億7,671万4千円となりました。
介護保険特別会計
介護保険制度は、3ヵ年ごとに策定する介護保険事業計画に基づき、高齢者が安心して暮らせる地域共生社会の実現に向けて、介護サービスの充実を図っています。
令和5年度は、「第8期介護保険事業計画」の最終年度であり、次期介護保険計画策定への準備期間となることから、引き続き安定した事業運営を図り、次期計画への円滑な移行を目指します。
事業の予算総額としては、要介護認定者の増加を見込み、前年度対比0.9%増の120億7,430万9千円としました。
主な歳出である介護サービス給付費については、その抑制に向けて介護予防事業を実施するとともに、住み慣れた地域でいつまでも自分らしく生活できるよう、医療・介護・予防・住まい・生活支援の一体的提供と、高齢者を地域で支えていく地域包括ケアシステムの強化に取り組みます。具体的には、市内9ヶ所の地域包括支援センターを核として、「入間市高齢者等地域ネットワーク推進会」などとの連携を図りながら、引き続き「介護予防・日常生活支援総合事業」、「在宅医療・介護連携推進事業」、「生活支援体制整備事業」、「認知症総合支援事業」、「地域ケア会議推進事業」を実施してまいります。
入間市駅北口土地区画整理事業特別会計
入間市駅北口周辺の市街地整備を目的とした本事業は、平成12年7月に事業計画変更の認可を受けて以来、逐次仮換地指定を行い、建物移転、街路築造工事などを実施しており、入間市駅北口駅前広場の早期開設に向けて事業進捗を図ってまいります。
令和5年度の予算規模は、前年度対比121.0%増の18億5,225万7千円としました。主に、北口中央通り線街路築造工事や地下調整池設置工事等の工事及び建物移転などを実施します。また、 霞橋については、今後も埼玉県とともに完成に向けて整備を推進してまいります。これにより、令和5年度末における建物移転率は81.0%、道路整備率は34.9%になる見込みです。
扇台土地区画整理事業特別会計
扇台地区の市街地整備を目的とした本事業は、平成5年9月に事業認可を受けて以来、逐次仮換地指定を行い、建物移転、街路築造工事などを実施しています。
令和5年度の予算規模は、前年度対比6.0%増の4億5,803万4千円としました。主に、建物移転や街路築造工事、汚水管布設工事などを実施します。また、仮換地指定についても計画的に行います。これにより、令和5年度末における建物移転率は39.0%、道路整備率は46.5%になる見込みです。
水道事業会計
水道事業は、後期5年間の「入間市新水道ビジョン」に基づき、水道施設の維持管理や更新を適切に行うとともに、効率的で安定した事業経営を確保するための取組を進めます。
業務予定量は、給水戸数6万9,800戸、年間総給水量1,615万9,800立方メートル、一日平均給水量4万4,152立方メートルとしました。
収益的収入は、前年度対比0.7%減の32億6,885万8千円とし、このうち水道料金については、近年の動向から25億8,665万円としました。収益的支出は、前年度対比6.1%増の30億2,067万6千円とし、水道料金の徴収業務、鍵山浄水場などの管理、県水の受水、漏水調査及び修理、量水器の検針及び取り替えなどを行い、安全でおいしい水づくりを推進します。なお、消費税及び地方消費税を除いた収益的収支については、当期純利益40万2千円を見込んでいます。
資本的収入は、企業債、区画整理事業区域内における配水管工事負担金などを見込み、前年度対比20.7%減の5億7,986万8千円としました。資本的支出は、前年度対比32.4%減の16億 6,850万5千円を見込み、配水管の布設替工事や令和3年度から実施している扇町屋配水場及び入間台加圧場の改修工事のほか、今年度は藤沢配水場の改修工事を令和6年度までの継続事業として実施します。また、「中期耐震化計画」を令和6年度までの2ヵ年で策定します。なお、資本的収支の不足額10億8,863万7千円については、損益勘定留保資金などで補てんをします。
下水道事業会計
下水道事業は、後期5年間の「入間市下水道事業中長期経営計画」に基づき、下水道施設の維持管理や更新を適切に行うとともに、効率的で安定した事業経営を確保するための取組を進めます。
業務予定量は、水洗化戸数5万8,704戸、年間総排水量1,703万9千立方メートル、1日平均排水量4万6,555立方メートルとしました。
収益的収入は、前年度対比0.8%減の24億2,921万2千円とし、このうち使用料収入は、近年の動向から14億7,884万円としました。また、一般会計からは、雨水整備などにかかる負担金として2億8,492万2千円、使用料収入などで不足する財源を補助金として1億7,507万8千円、合わせて4億6,000万円を繰り入れます。収益的支出は、前年度対比1.2%増の23億8,495万2千円とし、荒川右岸流域下水道維持管理負担金を見込むほか、「入間市下水道ストックマネジメント計画」に基づく管路施設調査及び下水道施設の維持管理などを実施します。また、下水道事業の認知度向上を目的として、引き続きデザインマンホールを設置し、マンホールカードの配布やグッズの販売を実施します。なお、消費税及び地方消費税を除いた収益的収支については、当期純利益 1,762万6千円を見込んでいます。
資本的収入は、企業債1億3,870万円や国庫補助金4,350万円などを見込み、前年度対比 26.2%減の2億750万5千円としました。資本的支出は、前年度対比9.6%減の12億855万4千円とし、企業債の償還金を見込むほか、建設改良事業として管渠布設工事や管渠改築工事、「入間市下水道総合地震対策計画」に基づく耐震診断、詳細設計及び耐震化工事などを実施します。なお、資本的収支の不足額10億104万9千円については、損益勘定留保資金などで補てんをします。
以上、令和5年度当初予算の編成に当たっての考え方と重点施策の概要についてご説明申し上げました。
長引く感染症の影響や物価高騰などによる厳しい社会状況を反映し、令和5年度の予算編成は例年にも増して厳しいものとなりました。一方で、感染症対策や自然災害への備え、福祉や教育施策の充実など、安全で安心な市民生活を守り、一人ひとりが生き生きと暮らせるまちづくりに向けた施策は着実に進めていく必要があります。また、SDGs未来都市計画をはじめ、公共施設マネジメントの推進や「入間市まち・ひと・しごと創生総合戦略」に基づく人口減少対策事業の推進など、本市の将来を見据えた各種事業についても確実に推進していかなければなりません。
厳しい財政状況ではありますが、これまで以上のリーダーシップを発揮し、前例のないことにも果敢に挑戦し、さらなる飛躍に向けて「第6次入間市総合計画・後期基本計画」及び「入間市まち・ひと・しごと創生総合戦略」に基づく取組を積極的に推進し、本市の未来を拓く戦略的なまちづくりを進めてまいります。
令和5年度も、市民の皆様の声に真摯に耳を傾け幸せを実感していただけるまちづくりを目指し、職員とともに邁進してまいりたいと存じますので、議員各位並びに市民の皆様のご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。
なお、この施政方針によりまして、議案第30号から議案第37号までの提案理由の説明に代えさせていただきます。
令和5年2月16日 入間市長 杉 島 理一郎
令和5年度施政方針 (PDFファイル: 549.5KB)
更新日:2023年08月16日