いるま未来共創ラボ発進事業第1号!デザインの力で防災力アップ「はるるーと」実証実験

更新日:2025年03月26日

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はるるーと防災教育キットの実証実験を行いました

I&CO合同会社および入間市立藤沢東小学校と産官学連携で実証実験を実施しました。

学校生活で防災意識を育む「はるるーと」防災教育キット

入間市は、I&CO合同会社と実証実験に向けた協力協定を締結し、避難ルートサイン「はるるーと」防災教育キットを使用した実証実験を実施しました。

「はるるーと」は、防災用語「おかしもち」および避難経路を示す矢印がデザインされた幅約5センチメートルのビニールテープです。このテープは「デザインの力で何か社会貢献をしたい。震災の多い日本で、防災に貢献できるのでは?」というI&CO合同会社の社員のアイデアから生まれました。子どもたちが自らの手で、学校の廊下等にこのテープを貼る体験を通じて、日常的な防災意識を醸成する新しい避難ルートサインです。

はるるーと避難誘導テープの画像

テープには「おさない、かけない、しゃべらない、もどらない、ちかづかない」を印字

「はるるーと防災教育キット」は、防災教育用の授業進行ガイドを用いた授業の後に、テープを貼る体験をすることで、子どもたちの日常的な防災意識を醸成します。利用効果を検証するために、入間市立藤沢東小学校において、共同で実証実験を実施しました。

はるるーと防災教育用の授業進行ガイドの画像

授業進行ガイド

官民連携の入口「いるま未来共創ラボ」発進事業第1号!

令和6年8月半ば、I&CO合同会社からの「いるま未来共創ラボ」への提案があったことをきっかけに、この実証実験の企画がスタートしました。入間市立藤沢東小学校における4年生の総合的な学習の時間の内容に親和性が高かったこともあり、提案から約2ヶ月半後の令和6年10月下旬には実証実験が実現するという、異例のスピードで事業が進みました。

クリックするとユーチューブのページが開き、実証実験の様子が流れます

実証実験の様子(Youtubeへ遷移します)

デザインの力で防災のためにできることを

I&CO合同会社はブランド、プロダクト、サービス、コミュニケーションの4領域に焦点を当て、企業やブランドの変革を成功に導くグローバル・イノベーション・ファームです。通常業務では防災製品や教育関係の事業展開は行っていませんが、社内活動の一環で、自分たちのデザインやアイデアで社会や世の中を良くするための新規事業の取り組みを行なっています。
「はるるーと」は、南海トラフ巨大地震の危険区域である静岡県で生まれ育ったI&CO合同会社のデザイナーが、「デザインの力で防災のためにできることはないか」との思いから考案したものです

「はるるーと」プロジェクト フェーズ2を入間市で

2024年4月に、静岡県三島市立東小学校での避難訓練において「はるるーと」を使用し、その効果を検証しました。児童からは「わかりやすくて逃げやすかった」、教員からは「児童たちが自主的に避難指示を意識し、自力で避難できる可能性を感じた」などのコメントが。この実証実験の成果を踏まえて、テープの素材や色味、デザインを改良し、「はるるーと」の製品化を進めるべく、新たに防災の基礎知識を学ぶ防災教育用教材を制作
防災教育用教材を用いた授業を実施した後、子どもたちがテープを貼り付ける。一連の流れを実施できる相手を探しているところで、「いるま未来共創ラボ」を通じて本市に声がかかりました

社会課題の解決と、教育改革の方針にマッチ

社会的価値の創造

本市はパーパス”心豊かでいられる、「未来の原風景」を創造し伝承する。”を掲げ、様々な主体と手を取り合って社会課題を解決し、「普通のまち」だからこそできることを入間市発信で広め、このことが社会的な価値を生むと考えています。
「はるるーと」プロジェクトへ協力し、災害時における避難体制の強化と子どもたちへの実践的な防災教育の充実への一歩を、本市から踏み出します。

子ども中心の学校経営

入間市教育委員会では、児童生徒の考えや願いを把握し、学校の校則や学校行事のあり方を児童生徒が中心となって改善するなど、子ども中心の学校経営を行うことによって、児童生徒の主体性と自主性を育み、考えを行動に移す機会を増やすことを目指しています。
また、教師が説明し、黒板にまとめて知識を習得させる従来の一斉指導から、ペアやグループで協働して課題に取り組み、仲間の力を借りて自らの学びを深める「学び合い学習」へと教育のあり方を変革しています。
今回の実証実験では、避難ルートサインを自らの手で、グループで協働して貼ることで「学校づくりの経験」、「学び合い学習の実践」ができました。

藤沢東小学校での授業の様子

藤沢東小学校の4年生はコの字型の座席で授業を実施

防災訓練との親和性

毎年、本市全域で実施している防災訓練は、形だけの訓練ではなく、実際の災害時に役立つ実践的な取り組みを重ねてきました。その中で、学校における防災教育についても、子どもたちが日頃から防災について考え、行動する力を育むことが必要だと感じていました。
避難ルート上に子どもたち自らの手で誘導テープを貼り、そのテープを日常的に目にすることで防災意識が高まる。災害が起きたときには、大人たちは誘導テープを頼りに的確に避難指示を出すことができるうえ、子どもたち自らが判断し行動ができる。まさに本市にピッタリの取り組みです。

実証実験の結果と今後の展開

藤沢東小学校における実証実験の結果、以下の課題が明確になりました。

  • ガイドがないとテープを貼るのが難しい
    藤沢東小学校の廊下には、真ん中に白いラインが引いてあったため、このラインに沿って貼ることができた。それでも、子どもたちが真っ直ぐに貼るのは難しかった。ラインを引いていない学校では貼り方に工夫が必要。
  • 将来的なテープの費用負担
    強度は問題ないが、学習のために1年ごとに貼り替えることを想定している。テープ自体は高価なものではないが、継続的に購入する場合は費用負担が課題となる。
  • 学校における避難訓練との関連
    藤沢東小学校では授業の一環として、1学年(4年生)のみでの取り組みを実施した。授業から学校全体での避難訓練に活かすまでの流れをどう作っていくかなど、検討が必要。
貼り付けから約5ヶ月後の様子。耐久性は問題なし

貼り付けから約5か月後の様子。文字も矢印もくっきり見える。

令和7年度以降も市内小学校において実施予定

令和7年度中には、藤沢東小学校の新4年生での実施のほか、別の小学校での実施を予定しています。
引き続き、I&CO合同会社と連携し、取り組みを進めていきます。

この記事に関するお問い合わせ先

企画部 企画課 未来共創政策推進室
〒358-8511 埼玉県入間市豊岡1-16-1
電話番号:04-2964-1111(代表)
ファクス番号:04-2965-0232
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