令和3年度施政方針
1 予算編成の考え方
我が国経済は、新型コロナウイルス感染症(以下「感染症」という。) の世界規模での拡大による影響から、今もなお非常に厳しい状況が続いています。昨年の緊急事態宣言解除後、「ウィズコロナ」時代への対応として、感染症の拡大防止と社会経済活動の両立を目指して国が実施してきた様々な経済振興策の効果もあり、一旦は回復の兆しが見られましたが、秋からは再び感染症が急激に拡大したことで、社会、経済ともに未だ先行きの不透明感をぬぐえない環境にあります。
政府においては令和3年度の経済財政の運営に当たって、令和2年12月8日に閣議決定した「国民の命と暮らしを守る安心と希望のための総合経済対策」を円滑かつ着実に実施するとともに、様々な視点から「ポストコロナ」の新しい社会の実現を目指すこととしています。視点の一つとして、活力 ある地方を創るべく、中小企業の生産性向上、観光や農業の振興、地域公共交通の活性化などを図ることが挙げられていることから、市民生活の安心の実現と合わせて地域経済の早期回復が期待されるところです。
こうした中、本市の令和3年度の財政状況の概要としては、歳入面においては感染症拡大の影響を反映して市税収入や各種交付金について減額が 見込まれる中で、安定した市民生活の維持に必要な施策、事業を確実に実施するために、市債の活用とともに財政調整基金からの繰り入れを行うことで不足する財源の調整を図りました。また、歳出面においては投資的経費について切り詰めつつ、市民サービスの低下を招かないように最大限配慮し、改めて必要性、緊急性、優先性などを考慮して経費の調整を図りました。
その結果、投資的経費としては実施計画との整合に配慮して限られた財源を有効に配分することに留意し、防災行政用無線デジタル化工事、学童保育室整備事業、道水路整備事業、橋りょう補修事業、不老川緊急治水対策事業、小中学校施設整備事業、地区体育館等改修事業など、市民の安全・安心に 資する事業を中心に推進してまいります。また、経常的経費については、 社会保障関連経費の伸びに対応するとともに、子どもの育ちを切れ目なく 支える「子ども・子育て支援」のさらなる充実に配慮し、「元気な子どもが育つまち」を目指す各種事業について継続発展させることとしました。
しかしながら、令和3年度の行財政運営においては、今後の感染症の拡大状況によって、その対応を含めて現時点では予測できない大きな影響が生じることも想定されます。そのため、国・県の対応状況を注視しつつ、安全で安心な暮らしを守るために必要な施策、事業については、随時、適切な対応が図れるよう柔軟な運営に努めてまいります。
2 予算の規模
令和3年度の各会計別の当初予算案については、ただいま申し上げました基本的な考えのもとに編成し、一般会計の規模を前年度対比0.5%増の441億6,500万円としました。特別会計については、介護保険特別会計を保険給付費の伸びなどにより増額としましたが、国民健康保険特別会計は被保険者数の減少などに伴い減額としました。また、区画整理事業特別会計については各事業の着実な推進を図るものの、事業の進捗状況を踏まえて、3会計共に減額としました。この結果、特別会計は前年度対比0.2%増の289億5,750万円となりました。
これにより、一般会計と特別会計を合わせた予算総額は、前年度対比0.4%増の731億2,250万円となりました。
水道事業会計は前年度対比15%増の54億504万8千円、下水道事業会計は前年度対比0.5%減の35億4,587万円としました。
3 歳入の概要
市税は、感染症の影響による景気の動向を勘案するとともに、税制改正の内容などを踏まえ計上しました。
地方譲与税及び各種交付金は、前年度の交付実績及び感染症の影響による景気の動向を勘案し計上しました。
地方交付税は、前年度対比4.0%減の16億5,600万円を計上しました。
国庫支出金及び県支出金は、対象事業の交付基準などにより計上しました。
市債は、減収補てん債及び臨時財政対策債を見込むとともに、適債事業を十分に精査した上で最大限の活用を図り計上しました。
さらに、不足する財源については、財政調整基金から11億8,000万円を繰り入れることにより補てんしました。
この結果、令和3年度一般会計当初予算案の総額を441億6,500万円とし、歳入の内訳としましては、市税201億3,792万4千円、地方消費税交付金29億2,500万円、地方特例交付金5億300万円、地方交付税のうち普通交付税14億5,600万円、国庫支出金68億2,793万9千円、県支出金34億5,475万7千円、市債37億4,470万円、その他 51億1,568万円としました。
4 施策の概要
続いて、歳出について、第6次総合計画に掲げる施策の大綱ごとに、重点施策の概要を申し上げます。
始めに、「つながりを大切にしたまちづくり」について申し上げます。
人権施策の推進については、多様な生き方を尊重するための啓発事業を 進めます。また、性的少数者への理解を促進し、パートナーシップ制度の 導入に向けて検討を進めます。
男女共同参画の推進については、「第4次いるま男女共同参画プラン」に基づき、男女共同参画社会の実現を目指します。また、女性の活躍を推進するための事業を展開します。
コミュニティ活動の推進については、地域コミュニティの中核を担う 各区・自治会及び市民活動団体を支援することで市民が主役のまちづくりを推進します。また、外国人市民が快適な生活が送れるよう情報提供、相談体制の充実を図るとともに、地域のコミュニティ活動への外国人市民の参加を促進します。
姉妹都市・友好都市との交流については、国際交流協会と連携して友好関係の充実に向け、各種交流事業の推進に努めます。
次に、「学びあいのまちづくり」について申し上げます。
生涯学習の推進については、市民一人ひとりがライフステージに有効な 学びができるように、学習情報の提供や学習機会の充実を図ります。
学校教育については、児童生徒に1人1台整備されたタブレット端末を 活用し、学びの充実を図り、更なる学力の向上と定着を目指します。
不登校対策については、児童生徒の学校復帰を図るため、教育センターでのひばり教室や教職員・保護者に対しての専門家による研修会や講演会を 開催し、家庭・学校を支援します。
子ども未来室事業については、市内全小学校に小中一貫サポーターを配置し、小中一貫教育を推進することにより、学力の向上や中1ギャップの解消を図ります。また、ユニバーサルデザインの視点を取り入れた教育を展開し、誰にでも分かりやすい授業づくりや教育活動を充実するとともに、児童発達支援センターと連携していきます。
学校施設については、校舎及び屋内運動場のトイレ改修工事を計画的に 実施し、児童生徒が快適で安心して学べる教育環境の向上につながる施設整備を進めるとともに、老朽化している施設の適正な維持管理に取り組みます。
学校給食については、老朽化した設備の更新などにより、安全・安心でおいしい給食を安定的に提供します。
社会教育事業については、人権教育の推進、家庭・地域の教育力の向上に取り組みます。
放課後子ども教室では、地域住民の参画を得て、就学児童が多様な学習体験が行えるよう全ての小学校区で実施します。
博物館では、指定管理者と連携して、展示やイベントの充実などサービスの向上を図ります。また、旧黒須銀行の保存・活用のための改修事業を計画的に進めます。
図書館では、快適な読書環境の維持管理を図るとともに、市民ニーズや 現代的・社会的課題に対応した図書資料の整備を進めます。また、図書館分館の指定管理者の変更に伴い、更なる利用者サービスの向上に努めます。
公民館では、市民の学習成果の発表の場としての文化祭や各種展覧会・ 発表会を開催するとともに、地域住民のニーズに対応した学習機会の提供や暮らしに役立つ情報提供など、学びを通じた豊かな暮らしと地域づくりに 取り組みます。また、公民館の会議室を開放する子どもの居場所づくり事業を実施するなど、地域の拠点として居場所づくりに取り組みます。
生涯スポーツの推進については、学校、地域及び団体などと連携し、スポーツ・レクリエーション事業の充実を図ります。また、パラリンピック聖火リレーの実施を通し、スポーツへの関心を高め、障害のある方もない方も共にスポーツを楽しんでいく機運を醸成します。さらに、安心・安全な体育施設を提供していくために、地区体育館の改修工事を計画的に進めます。
次に、「ささえあいのまちづくり」について申し上げます。
地域福祉については、引き続き「第3次入間市地域福祉計画」を推進します。地域での暮らしを支えるための基盤整備を進めるとともに、社会福祉協議会と連携し、ささえあい活動などの地域福祉活動を支援します。
生活支援については、生活困窮者自立支援事業を実施し、生活困窮者に対し生活保護に至る前での自立に向け支援します。また、生活保護世帯の自立の助長を図るとともに、適正給付に努めます。
子ども・子育て支援については、「入間市子ども・若者未来応援プラン」に基づき、施設型給付、地域型保育給付を行うとともに、学童保育室の開室時間を延長し、子育て家庭のニーズに応えます。併せて、地域子育て支援拠点の多機能化、学童保育室の整備や一部の民間委託を計画的に進め、地域子ども・子育て支援事業を推進します。また、公共施設マネジメント事業計画に基づく公立保育所整備事業として、宮寺保育所と二本木保育所を統廃合するための新たな保育所の建設用地を取得します。
児童虐待防止対策については、国の要保護児童等に関する情報共有システムを活用するとともに、子ども家庭総合支援拠点を中心に、関係機関との緊密な連携を図り、児童虐待の早期発見、早期対応に努めます。
児童発達支援については、児童発達支援センター「うぃず」において関係機関と連携し、発達に遅れまたは障害のある児童とその家族に、発達の段階に応じた切れ目ない支援を推進します。
高齢者支援については、新たに策定した「入間市第9次高齢者保健福祉計画」に基づき、要援護者等支援事業などを実施し、援護が必要な高齢者の生活の安定と介護者負担の軽減を図ります。老人福祉センターは、十分な感染症対策のもとで、指定管理者と連携してサービスの向上に努めます。
障害者支援については、令和3年度を始期とする「入間市障害者福祉プラン」に基づき、継続性のある障害者福祉施策を推進します。また、障害者基幹相談支援センターを中心に相談支援体制の充実を図り、障害者(障害児)の地域社会への定着と自立した生活を支援するとともに、就労支援センターりぼんを中心に障害者の就労の機会の拡大を図るなど、障害者の就労、職場定着を支援します。
妊婦・乳幼児健診事業については、乳幼児が適切な時期に聴覚及び視覚の検査を受けられるよう環境を整備することで、支援の必要な乳幼児の早期発見に努め、早期からの支援に取り組みます。
健康づくりの推進については、「第3次健康いるま21計画」に基づき、 健康な地域づくりを推進するとともに、健康寿命の延伸を目指し、健康診査、がん検診の受診率の向上及び健康教育の充実を図ります。
初期救急医療体制の整備については、狭山市と協同で一週間を通じた準夜間帯における初期救急患者への診療を引き続き実施します。
次に、「住みやすく緑豊かなまちづくり」について申し上げます。
入間市駅前側留保地については、平成20年度に策定した留保地利用計画の見直しに向けた基本方針の策定、その基本方針に基づく利用計画の見直しに取り組みます。
土地区画整理事業については、「武蔵藤沢駅周辺土地区画整理事業」の 早期完成に向けて事業を推進します。「入間市駅北口土地区画整理事業」は、北口中央通り線周辺の建物移転などを実施します。また、「扇台土地区画整理事業」は、扇台愛宕公園線周辺の建物移転や街路築造工事などを計画的に推進します。
道路については、上藤沢・林・宮寺間新設道路(第3工区)の用地取得に着手します。また、安川新道線については、昨年度に引き続き、拡幅用地の取得を進めていきます。舗装補修事業については、「舗装補修計画」に基づき計画的に実施します。
不老川緊急治水対策事業については、埼玉県から受託した不老橋、富士見橋の架け換えに伴う仮橋・下部工等の工事に着手します。
公園については、引き続き、施設の適正な維持管理に努めます。
コミュニティバス(てぃーろーど及びてぃーワゴン)、路線バスをはじめとする地域公共交通については、「入間市地域公共交通計画」に基づき、引き続き持続可能な公共交通を目指します。
生活環境の維持と保全については、「第三次入間市環境基本計画」に基づき環境に配慮した事務事業を展開するとともに、単独処理浄化槽やくみ取り便槽から合併処理浄化槽への転換を促進し、生活排水による河川の水質汚濁防止に努めます。また、住宅用省エネルギー設備設置費用の一部助成や市施設の省エネ等により温室効果ガス排出の削減に取り組むことで、地球温暖化対策を推進します。さらに、埼玉県西部地域まちづくり協議会5市で連携し、 広域的に温室効果ガスの削減に取り組みます。
廃棄物対策については、ごみの発生を最小限に抑え、ごみの減量・資源化を図るとともに、広く市民などと循環型社会の構築を目指して各種施策を 展開してまいります。また、総合クリーンセンターの運転管理などを適切に 行うための効率的な修繕及び最終処分場の埋め立て量の抑制に努めます。
自然環境の保全・活用については、管理を市民と行政との協働で推進するとともに、(仮称)加治丘陵さとやま自然公園の整備を計画的に進めます。
次に、「活気に満ちたまちづくり」について申し上げます。
農業の振興については、狭山茶の生産力の強化を図る事業者や新たに農業を志向する方などを支援します。また、環境への負荷を軽減する環境保全型農業に資する取り組みを継続して推進するとともに、狭山茶をはじめ地場産農畜産物の効果的な啓発に努めます。
商業の振興については、入間市商工会や商店街などを支援し、地域経済の振興に努めます。さらに、にぎわいのあるまちづくりのため、空き店舗活用創業支援事業を推進します。
工業の振興については、市内企業などへの支援を行い、連携してモノづくり技術の情報発信を行うことで、モノづくり産業の価値を高めます。また、オープンファクトリーを推進することで、市内企業の発展につながる取り 組みを行います。
雇用の促進については、入間市ふるさとハローワークとの連携や就職面接会の実施などにより地域雇用の促進を図ります。
中小企業の経営基盤の強化については、中小企業制度融資をあっせんし、中小企業の活力ある活動を支援するほか、入間市商工会などと連携して創業 セミナーの開催などの創業支援事業を行い、地域の活性化及び雇用の確保を 図ります。
観光の振興については、地域資源を新たな魅力に磨き上げ賑わいを創出することで、本市を訪れる方に満足してもらえる観光戦略策定に取り組みます。さらに、入間市観光協会と連携してSNSなどを活用した情報発信により、魅力アップに取り組みます。
市民文化の振興及び発信については、入間市最大のイベントである入間万燈まつりをはじめとする各種事業を、新しい生活様式を踏まえ、市民と行政の協働のまちづくり事業として実施します。
次に、「安全で安心してくらせるまちづくり」について申し上げます。
防災対策としては、近年多発している風水害を踏まえ、防災体制を整えるとともに、防災訓練の実施、市民の防災意識高揚のための啓発及び各地区の自主防災会活動を支援します。また、工事最終年度となった防災行政用無線デジタル化移行工事を実施します。
消防については、消防力の一層の向上のため、埼玉西部消防組合との連携協力体制の強化に努めます。また、非常備消防体制の強化に向けて消防団員の処遇を充実させるとともに、安定した消防団活動のため、女性消防団員を 含めた消防団員の加入に繋がる広報活動に努めます。
空き家等対策については、「入間市空き家等対策計画」を推進し、必要に応じた行政措置の実施や適切な情報提供に努めます。
交通安全の推進については、交通死亡事故の撲滅を目指し、関係機関・ 団体と連携し、子どもや高齢者などの交通安全対策に努めます。また、道路標示や道路反射鏡などの交通安全施設の整備を推進します。
防犯対策については、市民の防犯意識の高揚を図るとともに、各防犯関係機関・団体と、より密接な連携及び情報共有を図り、地域防犯活動を支援します。特に、依然として多発している特殊詐欺について、引き続き、地域防犯活動団体、狭山警察署などと連携し、積極的に防止対策を推進します。 また、犯罪等の被害に遭われた方への総合的な支援体制を整備するため、 犯罪被害者等支援条例の制定に向けて検討を進めます。
次に、「計画の実現に向けて」について申し上げます。
市が保有する個人情報などの取り扱いに細心の注意を払うとともに、情報 セキュリティ対策を徹底し、情報セキュリティの確保を図ります。
選挙については、令和3年10月に衆議院議員が任期満了を迎え、それまでに解散、もしくは任期満了による総選挙が執行されます。若年層への啓発を推進し投票率の向上を図るとともに、感染症防止対策に努めます。
協働の推進については、市民活動団体を支援する中間支援組織と連携し、市民との協働のまちづくりを進めます。
行財政運営については、引き続き厳しい状況が続いておりますが、最終年度を迎える「第6次入間市総合計画・前期基本計画」に基づく各種施策・事業の着実な実施に向けて、限られた財源を有効活用するとともに、財源確保を図ります。また、「行政改革大綱・第1期実行計画」についても最終年度を迎えることから、計画の基本理念である「行政サービスの最適化」の進捗状況を総括する視点も踏まえて個別改革進行プランなどに基づく取り組みを推進し、安定した行政運営と充実した行政サービスの提供を図ります。
公共施設については、適切な形で将来世代に引き継いでいくことを目的とする「公共施設マネジメント」の取り組みを推進し、平成30年度に策定した「公共施設マネジメント事業計画」に基づき、将来を見据えた各施設の再整備・再配置・維持管理について、引き続き市民の意向を踏まえながら 着実に進めます。また、新庁舎の整備については、事業内容・事業範囲などの条件を整理するとともに、具体的な検討を進めます。
以上が、施策大綱別の重点施策であります。
5 特別会計・水道事業会計・下水道事業会計予算概要
次に、特別会計、水道事業会計及び下水道事業会計の概要について申し上げます。
国民健康保険特別会計
国民皆保険の基盤である国民健康保険制度は、その制度を持続可能なものとするための改革が行われ、平成30年4月に都道府県が市町村と共同の保険者となった国保広域化から4年目となります。しかしながら、依然として、国民健康保険制度は「年齢構成が高く医療費水準が高い」、「所得水準が低く保険税の負担が重い」などの課題を抱えています。
令和3年度の国民健康保険特別会計の予算規模は、被保険者数の減少などから、前年度対比1.0%減の143億2,924万7千円としました。
歳入については、国民健康保険税は、被保険者の減少などに伴う減収の 見込みから、前年度対比1.1%減の30億3,814万3千円としました。また、一般会計繰入金については、前年度対比5.7%減の5億8,874万3千円となりました。
なお、令和3年度の税率改定については、国保広域化後の動向に不透明さが増していること、感染症による社会的影響により、景気低迷による加入者への税負担への考慮などから見送ることとし、財源不足については、国民 健康保険財政調整基金より3億2,022万6千円を繰り入れ、調整を図りました。
歳出については、保険給付費は一人当たり医療費が増加しているものの、被保険者数が減少していることから、前年度対比1.6%減の101億9,817万7千円を見込みました。また、県が保険給付費として、市へ交付する普通交付金の財源のうち、市負担分である国民健康保険事業費納付金については、前年度対比1.4%増の38億4,889万5千円を計上しました。
今後も県と連携を図りながら、安定的な事業運営に努めてまいります。
後期高齢者医療特別会計
後期高齢者医療制度は、平成20年4月の制度開始から13年が経過し、広く市民に定着した制度となり、安定的な事業運営がなされています。特別会計の内容は、市が収納した保険料などを広域連合納付金として支出するのが主な事業となっており、令和3年度の予算規模は、前年度対比1.9%増の20億179万1千円としました。これは、高齢化の進展に伴う被保険者の増加が主な理由です。
介護保険特別会計
介護保険制度は、制度開始から20年以上が経過し、制度に対する市民の理解も深まっています。しかしながら、急速な高齢化が進む中、介護サービス利用者の増加とともに、給付費も年々増加しています。令和3年度から スタートする「第8期介護保険事業計画」に基づき、介護保険制度の持続可能性を維持しながら、高齢者が安心して暮らせる地域共生社会の実現に 向けて、介護サービスの充実を図ります。
令和3年度の予算規模は117億4,266万2千円で、前年度対比4.7%増としました。これは、要介護認定者の増加に伴い、保険給付費を前年度対比4.9%増の110億7,124万3千円としたことが主な理由です。
地域支援事業では、要介護状態などになることを予防するとともに、要介護状態などとなった場合においても、住み慣れた地域でいつまでも自分らしく生活できるよう、医療・介護・予防・住まい・生活支援が一体的に提供され、高齢者を地域で支えていく地域包括ケアシステムの強化を図ります。 具体的には、市内9ヶ所の地域包括支援センターを核として、「入間市高齢者等地域ネットワーク推進会」などとの連携を図りながら、引き続き「介護予防・日常生活支援総合事業」、「在宅医療・介護連携推進事業」、「生活支援体制整備事業」、「認知症総合支援事業」、「地域ケア会議推進事業」を中心に取り組んでまいります。
武蔵藤沢駅周辺土地区画整理事業特別会計
令和3年度の予算規模は、前年度対比94.3%減の1,200万円としました。主に、換地処分に伴う租税特別措置法に関する業務委託を実施します。
既に、道路整備及び建物移転率100%であるため、令和3年の換地処分を目標に計画的に事業を推進します。
入間市駅北口土地区画整理事業特別会計
入間市駅北口周辺の市街地整備を目的とした本事業は、平成12年7月に事業計画変更の認可を受けて以来、逐次仮換地指定を行い、建物移転、街路築造工事などを実施しています。
令和3年度の予算規模は、前年度対比12.5%減の4億2,500万円としました。主に、北口中央通り線周辺の建物移転などを実施します。これにより、令和3年度末における建物移転率は70.0%になる見込みです。
扇台土地区画整理事業特別会計
扇台地区の市街地整備を目的とした本事業は、平成5年9月に事業認可を受けて以来、逐次仮換地指定を行い、建物移転、街路築造工事などを実施しています。
令和3年度の予算規模は、前年度対比19.9%減の4億4,680万円としました。主に、扇台愛宕公園線周辺の建物移転や街路築造工事、汚水管布設工事などを実施します。また、仮換地指定についても計画的に行います。これにより、令和3年度末における建物移転率は36.9%、道路整備率は44.7%になる見込みです。
水道事業会計
水道事業は、「入間市新水道ビジョン」に基づき、水道施設の維持管理や更新を適切に行うとともに、効率的で安定した事業経営を確保するための取り組みを進めます。
業務予定量は、給水戸数6万8,800戸、年間総給水量1,663万4,100立方メートル、一日平均給水量4万5,573立方メートルとしました。
収益的収入は、前年度対比1.0%減の31億6,794万1千円とし、 このうち水道料金については、近年の水需要の変化や感染症の影響を踏まえ、26億4,418万円としました。
収益的支出は、前年度対比6.3%増の31億3,753万3千円とし、 水道料金の徴収業務、鍵山浄水場などの管理、県水の受水、漏水調査及び修理、量水器の検針及び取り替えなどを行い、安全でおいしい水づくりを推進します。
なお、消費税及び地方消費税を除いた収益的収支については、休止施設である南峯配水池の解体工事費を「特別損失」に計上することから当期純損失2,337万7千円を見込んでいます。
資本的収入は、企業債や国庫補助金、区画整理事業区域内における配水管工事負担金などを見込み、前年度対比3.4%減の7億1,961万6千円としました。
資本的支出は、前年度対比29.6%増の22億6,751万5千円を見込み、配水管の布設替工事や扇町屋配水場・入間台加圧場の改修工事、西武第一配水池の建替工事などを実施します。
なお、資本的収支の不足額15億4,789万9千円については、損益勘定留保資金などで補てんをします。
下水道事業会計
業務予定量は、水洗化戸数5万7,566戸、年間総排水量1,719万2千立方メートル、1日平均排水量4万7,101立方メートルとしました。
収益的収入は、前年度対比2.1%減の24億1,588万3千円とし、 このうち使用料収入は、近年の水需要の変化や感染症の影響を踏まえ14億9,413万円としました。また、一般会計からは、雨水整備などにかかる負担金として2億6,958万4千円、使用料収入などで不足する財源を補助金として1億7,041万6千円、合わせて4億4,000万円を繰り入れます。
収益的支出は、前年度対比1.3%増の23億6,103万3千円とし、 荒川右岸流域下水道維持管理負担金を見込むほか、市内で生じている雨天時浸入水の削減・解消に向けた計画の策定、「入間市下水道ストックマネジメント計画」に基づく管路施設調査及び下水道施設の維持管理などを実施 します。
なお、消費税及び地方消費税を除いた収益的収支については、当期純利益2,799万2千円を見込んでいます。
資本的収入は、企業債3億3,890万円や国庫補助金2,550万円などを見込み、前年度対比1.6%減の3億9,120万7千円としました。
資本的支出は、前年度対比3.8%減の11億8,483万7千円とし、 企業債の償還金を見込むほか、建設改良事業として管渠布設工事や管渠改築工事、「入間市下水道総合地震対策計画」に基づく耐震診断、詳細設計及び耐震化工事などを実施します。
なお、資本的収支の不足額7億9,363万円については、過年度分損益勘定留保資金などで補てんをします。
しかしながら、このように非常に厳しい行財政運営の状況下においても、感染症対策については万全を期するとともに、大規模な台風・豪雨災害などの突発的な財政需要の発生にも備える必要があります。そのため、そうした状況を打破し、好転させていくためにも、行政サービスの改善など市民一人ひとりの生活の質を向上させる「価値を生み出す行政改革」を断行し、第6次入間市総合計画・前期基本計画及び入間市まち・ひと・しごと創生総合戦略の取り組みをさらに加速させ、市民の皆様に満足していただけるまちづくりを目指してまいります。
誰もが経験したことのない新しい課題が次々と現れる今、「前例踏襲」に答えはありません。私のリーダーシップと職員の叡智を結集し、失敗を恐れず積極的に挑戦し続ける市政により、誰一人取り残さない、持続可能な入間市を実現するための新たなスタートの年にしていく所存であります。
こうした重点施策を確実に推進するためには、議員各位並びに市民の皆様のご協力が必要不可欠であります。引き続き、ご指導、ご協力をお願い申し 上げます。
なお、この施政方針によりまして、議案第21号から議案第29号までの提案理由の説明に代えさせていただきます。
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ファクス番号:04-2965-0232
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更新日:2023年03月31日