令和4年度施政方針
1 予算編成の考え方
令和4年第1回市議会定例会において、令和4年度当初予算関係議案のご審議をお願いするに当たり、予算編成の考え方と施策の概要を申し述べ、 議員各位並びに市民の皆様のご理解とご協力をいただきたいと存じます。
世界的なパンデミックを引き起こした新型コロナウイルス感染症(以下「感染症」という。)は、一旦は抑え込みに成功したかに見えたものの、新たな変異株への移行により、今年に入ってからも引き続き社会、経済ともに大きな脅威となっています。そのため、現時点で感染症との闘いはまだまだ予断を許す状況ではありませんが、市民の皆様に感染防止の更なる徹底をお願いしつつ、今後も国・県と連携してワクチン接種の推進や、ウイルス検査体制の確保など、感染に歯止めをかけ、市民の安全で安心な暮らしを守るために必要な対策については、令和4年度においても果断に講じてまいる所存です。
昨年後半には海外経済の動きにも改善の兆しが見られたことから、本年は我が国経済についても上昇傾向へと移行することが期待されています。国は、昨年11月19日「コロナ克服・新時代開拓のための経済対策」を閣議決定し、感染症対策に最優先に取り組みつつ、経済再生に全力を挙げて取り組む姿勢を示しており、感染症への対応とともに通常時に近い社会経済活動の再開を目指して、日本経済を自律的な成長軌道に乗せていくという方針のもと、国の補正予算の早期執行による効果も見込まれるところです。しかしながら、一方では世界的な原材料価格の高騰、さらには想定を超える変異株による感染症の再拡大が、今後、内外経済の動きにどのように影響を与えるのか、市財政への影響も懸念されることから引き続き注視していく必要があります。
こうした中、本市の令和4年度予算編成に当たり、歳入面においては緩やかながらも景気が徐々に回復基調に向かうことを想定して、市税や各種交付金については増額を見込むとともに、適債事業には市債を最大限活用するなど財源の確保を図りました。また、歳出面においては市民サービスの維持に配慮しつつ既存事業の見直しに取り組むとともに、今後の社会変容を想定し、本市の将来を見据えた事業については積極的に予算措置を講じるなど、必要性、緊急性、優先性などを考慮した事業選択を行い、経費の調整を図りました。
その結果、投資的経費としては、限られた財源の有効配分に留意し、新最終処分場整備事業、道路等整備事業、不老川緊急治水対策事業、入間市駅北口土地区画整理事業、小中学校施設整備事業、地区体育館改修事業など、市民の安全、生活利便性の確保に向けた事業を中心に推進してまいります。また、経常的経費としては、社会保障関連経費の伸びに対応するとともに、「元気な子どもが育つまち」を目指した各種事業について継続発展させ、子ども・子育て支援の更なる充実を図ることとしました。その他、新たな産業用地の創出や産業の振興、DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進、 2050年カーボンニュートラルに向けた取組の強化、公共施設マネジメント事業計画に基づく事業についても着実に実施していくこととしました。
しかし、令和4年度の行財政運営においても、未だ収束の見えない感染症の状況によって、現時点では予測できない大きな影響が生じることも予想されます。そのため、必要な施策、事業については、国・県との連携を図りながら、随時、適切な対応が図れるよう柔軟な運営に努めてまいります。
2 予算の規模
令和4年度の各会計別の当初予算案は、ただいま申し上げました基本的な考えのもとに編成し、一般会計の総額は、前年度対比1.9%増の450億 1,000万円としました。
特別会計については、被保険者数の増と保険料改定により後期高齢者医療特別会計が、保険給付費の伸びなどにより介護保険特別会計がいずれも増額となり、また、入間市駅北口土地区画整理事業特別会計については、埼玉県と進めております霞橋整備とともに事業全体の更なる推進を図ることとしました。この結果、特別会計の総額を前年度対比2.4%増の296億 5,006万7千円としました。
これにより、一般会計と特別会計を合わせた予算総額は、前年度対比 2.1%増の746億6,006万7千円となりました。
なお、水道事業会計は前年度対比1.6%減の53億1,712万9千円、下水道事業会計は前年度対比4.2%増の36億9,389万5千円としました。
3 歳入の概要
それでは、歳入の概要として歳入予算の主なものをご説明申し上げます。
市税は、景気の動向及び国の経済見通しなどを勘案するとともに、税制改正の内容などを踏まえ計上しました。
地方譲与税及び各種交付金は、前年度の交付実績及び国の「地方財政対策」を勘案して計上し、地方交付税は、前年度対比22.0%増の20億 2,100万円を計上しました。
国庫支出金及び県支出金は、対象事業の交付基準などにより計上しました。
市債は、臨時財政対策債を見込むとともに、適債事業を十分に精査した上で最大限の活用を図り計上しました。さらに不足する財源については、財政調整基金から8億6,000万円を繰り入れることにより補てんしました。
この結果、令和4年度一般会計当初予算案の総額を450億1,000万円とし、歳入の内訳としては、市税209億4,092万4千円、地方消費税交付金32億3,900万円、地方交付税のうち普通交付税18億5,300万円、国庫支出金71億6,703万7千円、県支出金33億1,952万7千円、市債38億1,590万円、その他46億7,461万2千円としました。
4 施策の概要
続いて、歳出について、第6次総合計画に掲げる施策の大綱ごとに、重点施策の概要を申し上げます。
始めに、「つながりを大切にしたまちづくり」について申し上げます。
人権施策の推進については、市民一人ひとりが互いの個性や価値観を認め、人権を尊重し合う社会の実現に向け、啓発事業を進めます。また、性的マイノリティの方への理解を促進し、パートナーシップ・ファミリーシップ宣誓制度の啓発を進めます。
男女共同参画の推進については、新たに策定した「第5次いるま男女共同参画プラン」に基づき、女性の活躍を推進するための事業などを展開し、男女共同参画社会の実現を目指します。
コミュニティ活動の推進については、社会環境の変化に対応しながら、地域コミュニティの中核を担う各区・自治会及び市民活動団体を支援し、市民が主役のまちづくりを推進します。さらに、市民サービスの充実や地域づくりの推進のために地区センター整備を進めます。また、外国人市民が快適に生活できるよう「やさしい日本語」を活用して情報提供を行うとともに、相談体制の充実を図り、地域のコミュニティ活動への外国人市民の参加を促進し多文化共生社会の推進を図ります。
国際交流の推進については、友好関係の充実に向けたオンライン交流など、国際交流協会と連携して様々な事業を実施します。
次に、「学びあいのまちづくり」について申し上げます。
生涯学習の推進については、市民一人ひとりがライフステージに有効な 学びができるように、学習情報の提供や学習機会の充実を図ります。
学校教育については、3つのキーワードを設定し、教員と児童生徒の信頼関係を深め学力の向上と定着を目指します。1つ目、相手を大切にし、相手を受け入れ聴き合う関係づくりに必要な「聴く力」を育成します。2つ目、「協働」を通して自分の考えを深め、仲間と考えることが楽しい学習環境の場を設定します。3つ目、「やりきる力」で小さなプラスの体験を積み重ねることにより、自己肯定感と自己管理能力を高め、自ら調整する力を育成します。さらに、児童生徒に1人1台整備されたタブレット端末の更なる活用のためICT支援員により小中学校を支援し、個別最適な学びと協働的な学びの充実を図ります。
不登校対策については、教育センター内ひばり教室での体験や補充学習を生かし、児童生徒の学校復帰の支援をします。また、教職員や保護者に対しては、専門家による研修会や講演会を開催し、家庭・学校を支援します。
子ども未来室事業については、本市の特色である小中一貫教育を推進することにより、学力の向上や中1ギャップの解消を図ります。また、ユニバーサルデザインの視点を取り入れた教育を展開し、誰にでも分かりやすい授業づくりや教育活動を充実するとともに、教育と福祉と保健の連携を進めます。
学校施設については、校舎及び屋内運動場のトイレ改修工事を計画的に 実施し、児童生徒が快適に安心して学べる教育環境の整備に努めます。また、教職員用トイレについても計画的に改修工事を実施し、職場環境の向上に努めます。
学校給食については、老朽化した設備の更新や新規調理機器の設置により、安全・安心でおいしい給食を安定的に提供します。
社会教育事業については、人権教育の推進、家庭・地域の教育力の向上に取り組みます。
放課後子ども教室については、地域住民の参画を得て、就学児童が多様な学習体験が行えるよう全ての小学校区で実施します。
博物館では、指定管理者と連携して、展示やイベントなどを充実することで博物館の魅力アップを図ります。
図書館では、快適な読書環境の維持管理を図るとともに、市民からのリクエストに応えつつ、現代的・社会的課題にも対応した図書館資料の充実に努めます。
公民館では、共に学び合う住民や団体が日頃の成果を発表し、交流を通じてつながりを深める機会としての文化祭や各種展覧会・発表会を開催するとともに、暮らしを豊かにし、地域を活性化する学びの提供に努めます。また、コーディネート力を発揮し、住民同士が絆を結ぶことができるように支援することによって、地域づくりを促進します。
生涯スポーツの推進については、学校、地域及び団体などと連携し、スポーツ・レクリエーション事業の充実を図ります。また、安心・安全な体育施設を提供していくために、地区体育館の改修工事を計画的に進めます。
次に、「ささえあいのまちづくり」について申し上げます。
地域福祉については、引き続き「第3次入間市地域福祉計画」を推進します。地域での暮らしを支えるための基盤整備を進めるとともに、社会福祉 協議会と連携し、ささえあい活動などの地域福祉活動を支援します。また、「総合相談支援室」を設置し、相談者の属性を問わない包括的な相談支援体制の構築に向けて取り組みます。
生活支援については、生活困窮者自立支援事業において新たに家計改善支援事業を実施し、生活困窮者の自立に向けた支援の充実を図ります。また、生活保護世帯の自立を助長するとともに、適正給付に努めます。
子ども・子育て支援については、「入間市子ども・若者未来応援プラン」に基づき、施設型給付、地域型保育給付を行うとともに、地域子育て支援拠点の多機能化、学童保育室の一部民間委託や民間学童保育室の支援を計画的に進め、地域子ども・子育て支援事業を推進します。また、公共施設マネジメント事業計画に基づく公立保育所整備事業として、金子第一保育所と金子第二保育所を統廃合するための新たな保育所の用地取得を進めます。
児童虐待防止対策については、国の要保護児童等に関する情報共有システムを活用するとともに、子ども家庭総合支援拠点を中心に、関係機関との 緊密な連携を図り、児童虐待の早期発見、早期対応に努めます。
ヤングケアラーへの支援については、「入間市ヤングケアラー支援条例」を制定し、潜在化しやすいヤングケアラーの把握に努め、関係機関と連携して適切な支援に取り組みます。
児童発達支援については、児童発達支援センター「うぃず」において関係機関と連携し、発達に遅れまたは障害のある児童とその家族に、発達の段階に応じた切れ目のない支援を推進します。
児童センターについては、玄関ポーチ等改修工事を行い、利用者の安全の確保を図るとともに、プラネタリウムの映像及び音響装置の修繕を行います。
高齢者支援については、「入間市第9次高齢者保健福祉計画」に基づき要援護者等支援事業などを実施し、援護が必要な高齢者の生活の安定と介護者負担の軽減を図ります。老人福祉センターは、指定管理者と連携してサービスの向上に努めます。
障害者支援については、「入間市障がい者福祉プラン」に基づき、継続性のある障害者福祉施策を推進します。また、障害者基幹相談支援センターを中心に相談支援体制の充実を図り、障害者(障害児)の地域社会への定着と自立した生活を支援するとともに、就労支援センターりぼんを中心に障害者の就労の機会の拡大を図るなど、障害者の就労、職場定着を支援します。
妊婦・乳幼児健診事業については、妊産婦及び乳幼児の心身の健康の保持を図るために各種健康診査を実施し、支援の必要な方の早期発見に努めます。産前の定期的な妊婦健診による健康管理に加え、産後のうつを予防し新生児の虐待を防止するため、新たに産婦を対象とした健診事業を実施し、妊娠期から子育て期までの切れ目のない支援の強化を図ります。
健康づくりの推進については、「第3次健康いるま21計画」に基づき、健康な地域づくりを推進するとともに、健康寿命の延伸を目指し、健康診査、がん検診の受診率の向上及び健康教育の充実を図ります。
初期救急医療体制の整備については、狭山市と協同で一週間を通じた準夜間帯における初期救急患者への診療を引き続き実施します。
次に、「住みやすく緑豊かなまちづくり」について申し上げます。
入間市駅前側留保地については、多くの市民が集まり入間市の顔となるような賑わいのあるまちを目指して、令和3年11月に策定した「ジョンソン基地跡地留保地利用計画見直し基本方針」に基づき、調査・研究や市民意見聴取、民間事業者ヒアリングを実施し、留保地利用計画の見直しに取り組みます。
道路については、上藤沢・林・宮寺間新設道路(第3工区)の用地取得を引き続き進めていきます。また、安川新道線の街路築造工事に着手します。
舗装補修事業については、「舗装補修計画」に基づき計画的に実施します。
不老川緊急治水対策事業については、埼玉県から受託した不老橋、富士見橋の架換えに伴う上部工の工事を実施します。
建築物耐震改修等促進事業については、新たに倒壊の危険性があるブロック塀などの撤去工事費用の一部について補助を行い、ブロック塀などの倒壊による被害の防止に取り組みます。
公園については、引き続き、施設の適正な維持管理に努めます。また、公園の質の向上や公園利用者の利便性の向上を図るための事業に取り組みます。
コミュニティバス(てぃーろーど及びてぃーワゴン)、路線バスをはじめとする地域公共交通については、「入間市地域公共交通計画」の見直しを行い、引き続き持続可能な公共交通を目指します。
生活環境の維持と保全については、「第三次入間市環境基本計画」に基づき環境負荷の低減に向け、単独処理浄化槽やくみ取り便槽から合併処理浄化槽への転換を推進し、生活排水による河川の水質汚濁防止に取り組みます。
ごみの処理については、地球温暖化防止のため、ごみの減量・資源化を徹底し、市民や事業者とともに循環型社会を目指して各種施策を展開します。
最終処分場については、新たな最終処分場を整備するための用地を取得します。
自然環境の保全・活用については、管理を市民と行政との協働で推進するとともに、(仮称)加治丘陵さとやま自然公園の整備を計画的に進めます。
新たな取組
産業用地創出については、都市計画マスタープランの見直しを図るとともに、工業系土地利用推進エリアの基盤整備に向けた取組に着手します。
ゼロカーボンシティの実現を目指し、「入間市地球温暖化対策実行計画(区域施策編)」を策定し、脱炭素・資源循環施策を計画的に進めます。また、市民・事業者への周知啓発や再生可能エネルギー活用設備設置補助を実施します。公共施設においては、公用車のEV化や学校給食残渣の再資源化、地域新電力を視野に入れた再生可能エネルギーの活用など、温室効果ガスの削減に積極的に取り組みます。
次に、「活気に満ちたまちづくり」について申し上げます。
農業の振興については、狭山茶の生産振興及び消費拡大を図るほか、農畜産物の地産地消や環境保全型農業を推進します。また、農業基盤の強化のため、農地中間管理事業などにより担い手への農地集積を引き続き進めます。安心・安全な施設を提供していくために、農村環境改善センターの改修工事を実施します。
商業の振興については、入間市商工会や商店街などを支援し、賑わいのあるまちづくりのため、空き店舗活用に取り組みます。また、ウィズ・アフタ―コロナに向けた地域経済の活性化に努めます。
工業の振興については、市内企業の発展につながる支援や取組を継続して行います。また、社会環境の変化に対応した新たな産業の支援・創出による企業誘致に取り組みます。
雇用の促進については、相談体制を充実させ、入間市ふるさとハローワークとの連携や就職面接会の実施などにより地域雇用の促進を図ります。
中小企業の経営基盤を強化するため、入間市商工会や入間市金融団などと連携して事業者支援に取り組みます。
観光の振興については、本市の地域資源である金子台の茶畑の景観を新たな魅力として、非日常的な空間を創出するとともに、狭山茶のブランド力の向上を図ります。入間市観光協会と連携した取組により、観光誘客を強化します。
市民文化の振興については、ニューノーマルに配慮しつつ、市民と行政の協働のまちづくり事業として実施します。
次に、「安全で安心してくらせるまちづくり」について申し上げます。
様々な危機に備え、危機管理体制の充実を図ります。
防災対策としては、令和4年4月に改訂する「入間市地域防災計画」に基づき、近年多発している風水害を踏まえ、防災体制を整えるとともに、実践的な防災訓練の実施、防災意識の高揚に努めます。また、避難行動要支援者制度の見直しを図り、個別避難計画の策定を支援します。
消防については、消防力の一層の向上のため、埼玉西部消防組合との連携協力体制の強化に努めます。また、非常備消防体制の強化に向けて消防団員の処遇を充実させるとともに、安定した消防団活動のため、女性消防団員を含めた消防団員の加入につながる広報活動に努めます。
感染症対策については、引き続き国・県と連携し、対策事業を着実に進めます。また、緊急かわら版発行事業については、早急にお知らせしたい内容を広報いるま号外として即時発行し、市民への情報提供に努めます。
空家等の対策については、「入間市空家等の適正管理に関する条例」を制定し、空家等の周辺の生活環境の安全が確保された安心して生活ができるまちの実現に努めます。
交通安全の推進については、新たに策定した「第11次入間市交通安全計画」に基づき、交通死亡事故の撲滅を目指します。また、関係機関・団体と連携し交通安全教育や啓発活動に取り組むとともに、交通安全施設の整備による交通安全対策に努めます。
防犯対策については、警察などの関係機関・団体と連携し、地域防犯活動を支援し、市民の防犯意識の高揚を図ります。特に、依然として多発している特殊詐欺について、積極的に防止対策を推進します。
また、犯罪などの被害に遭われた方のために「入間市犯罪被害者等支援条例」制定の準備を進め、支援の充実を図ります。
次に、「計画の実現に向けて」について申し上げます。
広報活動として、広報いるまやSNSなどを活用するとともに、市公式ホームページのリニューアルを図り、本市の魅力を積極的に発信します。
市が保有する個人情報などの取扱いに細心の注意を払うとともに、情報セキュリティ対策を徹底し、情報セキュリティの確保を図ります。
マイナンバーカードの普及を促進するとともに、行政手続のオンライン化を充実させるなど、自治体DXを一層加速させ、ICTを活用した市民サービスの向上を図ります。
協働の推進については、多様化する地域課題の解決に向け、その原動力となる市民活動団体を中間支援組織と連携して支援することで、市民との協働のまちづくりを進めます。
行財政運営については、引き続き厳しい状況が続いておりますが、変更した「第6次入間市総合計画・基本構想」を実現するための「第6次入間市総合計画・後期基本計画」に基づく各種施策・事業の着実な実施に向けて、限られた財源を有効活用するとともに、財源確保を図ります。
また、「入間市行政改革大綱・第2期実行計画」に沿って、計画の基本理念である「行政サービスの最適化」や「価値を生み出す行政改革」といった視点も踏まえて個別改革進行プランなどの改革の取組を推進し、安定した行政運営と充実した行政サービスの提供を図ります。
公共施設については、適切な形で将来世代に引き継いでいくことを目的とする公共施設マネジメントの取組を推進し、平成30年度に策定した「入間市公共施設マネジメント事業計画」に基づき、将来を見据えた各施設の再整備・再配置・維持管理について、引き続き市民の意向を踏まえながら着実に進めます。また、新庁舎等整備事業については、事業内容などの諸条件を整理した新庁舎等整備事業の「実施方針」と「要求水準書」を作成し、事業者の公募を行うなど、新庁舎建設に向けた事業を進めます。
新たな取組
市の未来構想を考え実現させていくため、未来共創推進室を設置するとともに、新たな課題に対応するため、デジタル行政推進課、エコ・クリーン政策課を設置します。あわせて、高度な専門的知識を有する外部人材の登用を図ります。
以上が、施策大綱別の重点施策であります。
5 特別会計・水道事業会計・下水道事業会計予算概要
次に、特別会計、水道事業会計及び下水道事業会計の概要について申し上げます。
国民健康保険特別会計
国民皆保険の基盤である国民健康保険制度については、令和9年度から埼玉県内の保険税水準の準統一を図り、持続可能な医療制度を確立することとしています。
この実現に向けては、県内市町村が埼玉県国民健康保険運営方針に基づき取り組んでいますが、本市としましても県運営方針を踏まえるとともに、今後の市国民健康保険の運営における財政推計を基本とし、令和4年度はコロナ禍に配慮しつつ税率などを改定します。
令和4年度の国民健康保険特別会計の予算総額は、前年度対比1.4%減の141億3,504万1千円となりました。
歳入のうち国民健康保険税は、前年度対比3.4%増の31億4,280万7千円であり、これは、国民健康保険財政調整基金から2億円を繰り入れた上で税率改定による増額分を見込みました。また、一般会計繰入金は前年度対比0.1%増の5億8,945万2千円としました。
歳出のうち保険給付費は、一人当たりの医療費が増加傾向であるものの、被保険者数の減少が見込まれることから、前年度対比1.6%減の100億 3,350万4千円を見込みました。また、県が保険給付費として、市へ交付する普通交付金の財源のうち、市負担分である国民健康保険事業費納付金については、前年度対比0.5%減の38億3,163万4千円としました。
今後も県と連携を図りながら、各種保健事業の推進に向け取り組むとともに、国民健康保険の財政の健全化・安定化を図ってまいります。
後期高齢者医療特別会計
後期高齢者医療制度は、平成20年4月の制度開始から14年が経過し、現在では広く市民に定着した制度として安定的な事業運営を行っています。
特別会計の内容としては、市が収納した後期高齢者医療保険料などを後期高齢者医療広域連合納付金として支出することを主な事業としています。
令和4年度は、高齢化の進展に伴う被保険者数の増加と、2年ごとに行うこととしている保険料改定を実施することから、予算総額は前年度対比 14.0%増の22億8,230万7千円となりました。
介護保険特別会計
介護保険制度は、制度開始から20年以上が経過し、制度に対する市民の理解も深まっています。
現在の介護保険の状況としては、高齢化の進展による介護サービス利用者数の増加から介護サービス給付費の伸びは顕著であり、今後もますます伸びるものと考えられます。令和4年度も「第8期介護保険事業計画」に基づき、介護保険制度の持続可能性を維持しながら、高齢者が安心して暮らせる地域共生社会の実現に向けて、介護サービスの充実を図ってまいります。
令和4年度の予算総額は、前年度対比1.9%増の119億6,271万 9千円としました。これは、要介護認定者の増加に伴い、保険給付費を前年度対比2.0%増の112億9,453万9千円としたことが主な理由です。
主な歳出である介護サービス給付費の抑制に向け、地域支援事業における介護予防事業を実施するとともに、要介護状態などとなった場合に、住み慣れた地域でいつまでも自分らしく生活できるよう、医療・介護・予防・住まい・生活支援が一体的に提供され、高齢者を地域で支えていく地域包括ケアシステムの強化に取り組みます。具体的には、市内9ヶ所の地域包括支援センターを核として、「入間市高齢者等地域ネットワーク推進会」などとの連携を図りながら、引き続き「介護予防・日常生活支援総合事業」、「在宅医療・介護連携推進事業」、「生活支援体制整備事業」、「認知症総合支援事業」、 「地域ケア会議推進事業」を中心に取り組んでまいります。
入間市駅北口土地区画整理事業特別会計
入間市駅北口周辺の市街地整備を目的とした本事業は、平成12年7月に事業計画変更の認可を受けて以来、逐次仮換地指定を行い、建物移転、街路築造工事などを実施しています。
令和4年度の予算規模は、前年度対比4億1,300万円、率にして 97.2%増の8億3,800万円としました。主に、北口中央通り線周辺の建物移転などを実施します。また、埼玉県とともに進めております霞橋整備の推進を図ります。これにより、令和4年度末における建物移転率は 75.5%になる見込みです。
扇台土地区画整理事業特別会計
扇台地区の市街地整備を目的とした本事業は、平成5年9月に事業認可を受けて以来、逐次仮換地指定を行い、建物移転、街路築造工事などを実施しています。
令和4年度の予算規模は、前年度対比3.3%減の4億3,200万円としました。主に、建物移転や街路築造工事、汚水管布設工事などを実施します。また、仮換地指定についても計画的に行います。これにより、令和4年度末における建物移転率は37.8%、道路整備率は46.0%になる見込みです。
水道事業会計
水道事業は、後期5年間の「入間市新水道ビジョン」に基づき、水道施設の維持管理や更新を適切に行うとともに、効率的で安定した事業経営を確保するための取組を進めます。また、令和4年度から水道事業と下水道事業を区分し、施設整備から維持管理までを一体的に運営する組織体制とし、より効率的な事業の推進に努めてまいります。
業務予定量は、給水戸数6万9,200戸、年間総給水量1,619万 7,900立方メートル、一日平均給水量4万4,378立方メートルとしました。
収益的収入は、前年度対比3.9%増の32億9,183万1千円とし、 このうち水道料金については、近年の動向から26億4,440万円としました。収益的支出は、前年度対比9.2%減の28億4,742万7千円とし、 水道料金の徴収業務、鍵山浄水場などの管理、県水の受水、漏水調査及び修理、量水器の検針及び取り替えなどを行い、安全でおいしい水づくりを推進します。なお、消費税及び地方消費税を除いた収益的収支については、当期純利益1億9,766万2千円を見込んでいます。
資本的収入は、企業債や国庫補助金、区画整理事業区域内における配水管工事負担金などを見込み、前年度対比1.6%増の7億3,099万6千円としました。資本的支出は、前年度対比8.9%増の24億6,970万2千円を見込み、配水管の布設替工事や昨年度から実施している扇町屋配水場・入間台加圧場の改修工事、西武第一配水池の建替工事のほか、今年度は鍵山浄水場の改修工事を令和5年度までの継続事業として実施します。なお、資本的収支の不足額17億3,870万6千円については、損益勘定留保資金などで補てんをします。
下水道事業会計
下水道事業は、後期5年間の「入間市下水道事業中長期経営計画」に基づき、下水道施設の維持管理や更新を適切に行うとともに、効率的で安定した事業経営を確保するための取組を進めます。また、令和4年度から下水道事業と水道事業を区分し、施設整備から維持管理までを一元的に運営する組織体制とし、より効率的な事業の推進に努めてまいります。
業務予定量は、水洗化戸数5万8,054戸、年間総排水量1,703万 9千立方メートル、1日平均排水量4万6,682立方メートルとしました。
収益的収入は、前年度対比1.4%増の24億4,986万3千円とし、このうち使用料収入は、近年の動向から15億700万円としました。また、一般会計からは、雨水整備などにかかる負担金として2億6,147万4千円、使用料収入などで不足する財源を補助金として1億9,852万6千円、合わせて4億6,000万円を繰り入れます。収益的支出は、前年度対比0.2%減の23億5,747万円とし、荒川右岸流域下水道維持管理負担金を見込むほか、「入間市下水道ストックマネジメント計画」に基づく管路施設調査及び下水道施設の維持管理などを実施します。また、新たな取組としてデザインマンホール蓋を作製し、下水道事業の認知度を高めます。なお、消費税及び地方消費税を除いた収益的収支については、当期純利益5,975万円を見込んでいます。
資本的収入は、企業債1億9,800万円や国庫補助金5,500万円などを見込み、前年度対比28.1%減の2億8,127万5千円としました。資本的支出は、前年度対比12.8%増の13億3,642万5千円とし、企業債の償還金を見込むほか、建設改良事業として管渠布設工事や管渠改築工事、「入間市下水道総合地震対策計画」に基づく耐震診断、詳細設計及び耐震化工事などを実施します。なお、資本的収支の不足額10億5,515万円については、損益勘定留保資金などで補てんをします。
以上、令和4年度当初予算の編成に当たっての考え方と重点施策の概要についてご説明申し上げました。
長期にわたる感染症との戦いの中で、令和4年度についても非常に厳しい財政運営となることが想定されます。一方で、そうした状況下にあっても、市民の安全で安心な生活を守るために、近年頻発する自然災害に備える防災・減災対策の実施、まちの魅力につながる福祉や教育施策の充実、さらには公共施設マネジメントや人口減少に対応する入間市まち・ひと・しごと創生総合戦略の推進など本市の将来を見据えた時、必須となる各種事業については確実に推進していかなければなりません。
令和4年度は本市における最上位の行政計画である「第6次入間市総合計画・後期基本計画」の初年度となることから、組織機構の見直しも合わせて行うことで、計画の着実な実行を図るとともに、本市の未来を拓く戦略的なまちづくりの推進にも取り組んでまいります。
まずは一日も早く安全な暮らしを取り戻すために、当面は3回目のワクチン接種をはじめとする感染症への対応を最優先とし、その上で、先人から受け継がれてきたまちづくりの精神を尊重しつつ、必要があれば、時に果敢に、失敗を恐れず挑戦する姿勢で「第6次入間市総合計画」に掲げる、まちづくりの目標「みんなでつくる 住みやすさが実感できるまち いるま」の実現と「来てよし、住んでよし、働いてよし」の三方良しのまちづくりの具現化に向けて、全身全霊で邁進してまいります。
令和4年度においても、これまで同様「不易流行」を肝に銘じ、安定と挑戦の市政を貫いてまいりたいと存じますので、議員各位並びに入間市民の皆様のご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。
なお、この施政方針によりまして、議案第24号から議案第31号までの提案理由の説明に代えさせていただきます。
令和4年2月16日
入間市長 杉島 理一郎
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更新日:2023年03月31日