79 木造観音菩薩立像(もくぞうかんのんぼさつりゅうぞう)

更新日:2023年03月31日

ページID: 1991
金色のケースに入った朽ちかけた木造の観音菩薩立像の写真

市指定文化財(彫刻・平成30年7月1日) 所在地 二本木1255(寿昌寺)

 本像は、寿昌寺(じゅしょうじ)観音堂の本尊で、像高は36.6センチメートルを測ります。寄木造(よせぎづくり)で眼は玉眼。上半身に天衣(てんね)(肩から左右に垂らす長い布)、条帛(じょうはく)(肩から脇に斜めにかける布)を着け、下半身は裙(くん)(腰に巻く布)をまとい、左手に蓮華を持ち、右手は与願印(よがんいん)を結んでいます。頭部は宝(ほう)髻(けい)を結い、天冠台(てんかんだい)を付け、宝冠を被っています。眉間には白(びゃく)毫(ごう)(白色の玉)をもち、首に瓔珞(ようらく)(珠玉をつなげた飾り)を着けています。なお、天衣、宝冠、瓔珞、光背(こうはい)等は後の時代のものです。
 寺の言い伝えでは、詫間法眼(たくまほうげん)の作とされています。法眼は、鎌倉時代末から室町時代前半の鎌倉地方造仏界で主流を担った「詫間派仏所(ぶっしょ)」を象徴する仏師(ぶっし)で、切れ味鋭く、写実的で精妙巧緻な彫刻表現には中国宋元美術の影響が認められ、南北朝時代の制作と推定されます。
 小像ながら、この時代の特色をよく表した仏像で、市内の中世彫刻の中では際立った作品です。また、南北朝から室町時代にかけての当地域の造仏界の動静を知る上でも貴重です。
 通常は非公開です。

この記事に関するお問い合わせ先

教育部 博物館
〒358-0015 埼玉県入間市二本木100
電話番号:04-2934-7711
ファクス番号:04-2934-7716
メールフォームによるお問い合わせ