73 木造千手観音菩薩立像(もくぞうせんじゅかんのんぼさつりゅうぞう)

更新日:2023年03月31日

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木造の千手観音菩薩立像を正面から撮った写真

市指定文化財(彫刻・平成28年6月1日) 所在地 春日町二丁目9-1(蓮花院)

 この仏像は、蓮花院(れんげいん)観音堂の本尊で、頂上仏面に十一個の変化面をそなえ、中央の合掌手(がっしょうしゅ)と宝鉢手(ほうはつしゅ)に脇手三十八手を加えて四十二臂(し)を数える千手観音菩薩像である。江戸時代後期の作と見られる厨子の中で、台座上に直立する。
 カヤ材の割矧ぎ造でほとんど彩色を施さない素地仕上げである。像内には木札が納入されており、天文16年(1547)、前年焼失した本尊を、根岸(現狭山市)光明院の法印覚重が願主になり、鎌倉仏師長慶が再興した旨が記されている。長慶は、天文18年(1549)に県内ときがわ町の坂東札所九番慈光寺(じこうじ)観音堂本尊の千手観音菩薩立像を制作しているが、火災による焼損で現存するのは頭部のみで、体部は後補である。頭部・体部ともに一体で現存する蓮花院の千手観音菩薩立像は、この頃の鎌倉仏師の活動ぶりと作風を知る上でも貴重な遺例である。
 頭部は毛筋に至るまで細かく彫られ丹念な仕上げであるのに対し、体部は下部に至るほど簡素な造りとなる。このような作風のものは他にも例があり、当時の仏像の特徴の一つである。
 木造千手観音菩薩立像は、秀麗な面貌を持ち、保存状態も良好で、市内に残る中世仏の中にあって、造立事情、制作者、制作年を明らかにする基準的な作品として文化財的価値が高い。
秘仏となっており、通常は非公開です。

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