健診(検診)の目的と効果

「健康診査」「がん検診」について学ぶことから始めてみましょう。
自分自身の健康状態を把握し、定期的に健診・検診を受けることで、小さな変化に気がつくことができます。
市(自治体)が実施する『健康診査』、『がん検診』
各自治体では、特定健康診査や後期高齢者健康診査、各種がん検診など、住民の健康をサポートするため、国(厚生労働省)が定めた基準(ガイドライン)をもとに、様々な健診(検診)を無料もしくは安価な金額で実施しています。
ここでは、市が行う健診(検診)の意義、目的を通して、精密検査(二次検査)の重要性をご説明します。
市(自治体)が実施する「健康診査」(健診)・「検査診断」(検診)には目的があります
入間市が実施する健診(検診)は、いわゆる『スクリーニング検査(注釈)』で、多くの方に受診していただけるよう、身体への影響が少ない、簡易かつ安価な検査方法により、病気やがんの可能性を見つけます。
(注釈)スクリーニング検査…症状がない人を対象とする、病気を見つけるための検査。スクリーニングとは、選別する、ふるいにかけることです。
健診(検診)の種類 |
実施する目的、効果 |
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特定健康診査 |
メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)を予防するため、健診結果を元に保健師や管理栄養士等が必要に応じて助言、指導を行います。 |
後期高齢者健康診査 |
病気やその兆候を見つけだし、早期に医療へ結びつけることを目的としています。 (注釈)フレイル…加齢による心身の衰えに伴う生活機能、運動機能の低下 |
がん検診 |
がんの可能性を見つけて早期に医療へ結びつけることにより、がんによる死亡者を減らすことを最大の目的としています。 |
肝炎ウイルス検診 |
B型、C型肝炎ウイルスへの感染を調べ、慢性肝炎や肝硬変から肝臓がんへと進行しないよう、適切な医療に結びつけ、肝臓がんによる死亡者を減らすことを目的としています。 (ウイルス性肝炎の陽性者には、検査費用の助成制度や、給付金の支給対象になる場合があります。詳しくは以下の関連リンク先をご確認ください) |
骨粗しょう症検診 |
骨の密度を測定し、保健師や管理栄養士等が必要な助言、指導を行います。 早期に適切な医療に結びつけることで、骨粗しょう症を起因とする病気や骨折に伴う寝たきり(介護)予防を目的としています。 |
各健診(検診)の内容や受診方法については以下のリンク先をご覧ください。
健診(検診)のメリット・デメリット
健診(検診)を受けるメリットとは
健診(検診)の最大のメリットは、病気やがんを早期に見つけて、適切な医療につなげ、命を守ることです。
市が実施する健診(検診)は、科学的な根拠に基き、国(厚生労働省)が定めた基準(ガイドライン)に準拠しており、検査を受ける方になるべく負担をかけない(心身への影響や制限、偶発症を抑制し、時間や費用が少なく済む)簡易かつ安価な検査で実施しています。
このような検査を実施することで、より多くの方が健診(検診)を受けられ、効果的に病気やがんの可能性を見つけることができます。
では、健診(検診)を受けることによるデメリットは
医療機関の診療では、精度の高い医療機器や検査方法を用い、病気やがんであることを多角的に判断し、迅速な診断をしています。
しかし、市の健診(検診)は、前述の簡易かつ安価な検査方法で実施することから、検査の精度は低くなります。
また、残念ながら、健診(検診)は絶対に安全とは言えず、特にがん検診には以下のようなデメリットが存在します。
デメリットの種類 | デメリットの内容 |
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偽陰性 |
必ずがんが見つかる検査はなく、残念ながら検診で見つけられないがんがあります。 |
偽陽性 | 異常がないのに「がんの可能性がある」と判定される場合があり、結果的に受ける必要のない精密検査を受けていただく場合があります。 |
過剰診断 | 早急な治療を必要としないがん(命にかかわらない、悪化するかわからない、進行が遅く余命(寿命)に影響しないなど)にも通常の治療が行われ、心身や費用など、大きな負担が生じてしまう場合があります。 |
参考・引用:国立がん研究センター がん情報サービス「予防・検診」
がん検診 もっと詳しく知りたい方へ
4.がん検診のメリット、デメリット
がん検診について(国立がん研究センター がん情報サービスのサイト)
このほか、検査を受ける際、受けた後に起こりうる以下のような
デメリットや偶発症(合併症)があります。(主なもの)
- X線撮影に伴う放射線被ばく
- 検査により臓器などを傷つけてしまう
- 採血時に血管、末しょう神経を傷つけてしまう
- 気分が悪くなる、痛みや不快感が残る
- 細胞診の傷に細菌等が感染し、炎症などを起こす
- 検査結果が出るまでの不安 など
健診(検診)のデメリットを減らすことは可能か
検査の精度を上げることにより、適格な判定(診断)が可能となり、偽陰性、偽陽性、過剰診断などのデメリットはほぼなくなります。
しかし、その分、より多くの別のデメリット(検査に伴う身体への多大な影響、検査を受ける際の制限、偶発症の発生確率の増加、検査時間や検査費用の増大など)が生じ、検査で病気やがんが見つかるメリットよりも、検査を受けることで生じるデメリットが大きくなってしまいます。
国が定める健診(検診)の基準(ガイドライン)は、科学的な根拠をもとに、このようなデメリットを最小限に抑え、メリットが最大になるよう定められており、定期的に見直しがされています。
健診(検診)は、病気やがんを見つける確実な検査ではありません
以上のように健診(検診)は、病気やがんを見つける確実な検査ではなく、可能性を見つけるための検査です。
よって、病気やがんかを判断するにはより検査精度の高い「精密検査」の受診が必要です。
逆に『健診(検診)で異常がなかった=健康』とは残念ながら断言できません。
しかし、国が定めた基準により、医師が総合的に判断した健診(検診)の結果なので、健康状態の目安となります。また、毎年継続して健診(検診)を受診することで、体の状態の変化を把握しやすくなります。
なお、より詳しい健康診断をご希望の場合は、人間ドックや民間の健診(検診)専門クリニックの受検(どちらも自己負担)も選択肢となるでしょう。
適切に健診(検診)を受診しましょう
健診(検診)は、『自覚症状がない人が受診した時に、メリットがデメリットを上回る』ことを前提として実施されています。
よって、何らかの自覚症状がある方、治療を継続中の方、受診しても毎回精密検査が必要と判定される方は、正しい検査結果を出すことが難しくなり、誤った判定となる可能性が高くなります。
結果的に市の健診(検診)を受診する意味がなくなります。
自覚症状がある方
すでに何らかの疾患に罹患している可能性が高いので、マイナンバーカードを使い、医療機関で医師の診察を受けてください。
健診(検診)は、すぐに受診できない場合があり、また、結果が出るまでに時間がかかり、結局は精密検査を受けなければ正確な診断ができず、多くの時間を無駄にしてしまい、その間に状態が悪化する危険性があります。
治療を継続中の方
主治医に必ず相談し、指示に従って治療箇所『以外』の健診(検診)を適切に受診してください。
治療している箇所の健診(検診)を受診しても、検査精度が低いため、治療のための内服薬などの影響を受け、結果が正しく出ない可能性が高くなります。
また、今受けている治療に悪影響を与えかねず、余計な(重複した)検査や不要な放射線被ばくなど、不利益ばかり受けることになります。
治療箇所の健診(検診)の受診は、主治医から許可が出るまでお止めください。
毎回「精密検査が必要」と判定される方
まずは、精密検査を受診し、病気やがんが見つかれば治療を受けてください。
病気ではなかった場合は、精密検査を実施した医師に、今後の健診(検診)の受診の可否(健診(検診)を受けるメリットがあるか)を必ずご相談ください。
なお、以前の検査結果で「精密検査が必要」と判定された方で、精密検査を受けていない方は、次回以降の該当箇所の健診(検診)の受診はご遠慮ください(検査を受けるメリットがありません)。
『精密検査』を受けましょう
「精密検査が必要」=病気(がん)であるとは言い切れません
このようにメリットもデメリットもある健診(検診)ですが、国が定めた基準により、病気やがんの可能性があるか医師が総合的に判断しています。
市の健診(検診)で「再検査が必要」・「精密検査が必要」と判定されても、病気やがんであるとは言い切れません。
まずは、病気かどうかをはっきりさせるため、精密検査を必ず受けてください。
(コラム)「精密検査が必要」と検査結果が届いた…どうしよう
精密検査が必要と判定されて…
「今は体調も問題ないし、来年の検査結果を見て受診するか考えよう」
「忙しくて精密検査に行けない。症状が出たら病院へ行けばいいや」
「どうせ持病の症状だろうから、精密検査を受けなくても大丈夫だろう」
「がん(病気)だったらどうしよう。怖くて精密検査に行けない」
と精密検査を受けない方が少なからずいらっしゃいます。
ですが、精密検査が必要と判定されても病気やがんではないことは多々あります。
平成29年度に精密検査を受けた方のうち、がんであった割合(陽性反応適中率)が一番低かった肺がんが1.98%、一番高かった乳がんでも4.58%であり、必要以上に恐れることはありません。
(注釈)陽性反応適中率の出典 埼玉県「がん検診統一集計結果報告書(平成30年度集計結果)」
- 精密検査を受ける
- どこも悪いところが無ければ、不安がなくなり、安心して過ごせます
- 異常があれば、すぐに治療を始められる
- 体に負担の少ない治療法で済むかも
- 早期に完治、寛解する期待が高くなる
- いろいろな負担を減らすことができる
- 精密検査を受けない
- 仮に本当に病気やがんであった場合、せっかく健診(検診)で見つかった病気やがんの治療が遅れることになり、早期発見もフイに
- 状態が悪化する恐れがあり、何もしないと治療がどんどん難しく…
- 体に負担のかかる苦しい治療や、高度医療(=高額な医療費)を長期間受けなければならないかも
- 完治、寛解までに多くの時間、負担がかかりそう
早く病気やがんが見つかれば、それだけ治療が早く始められ、早く良くなる可能性が高まります。
何よりもご自身やご家族の不安や負担(心や体、時間、費用など)を減らすことにもなります。
まずは、「専門医に良く診てもらえるチャンス」と捉え、ご自身の体の状態を知るためにも精密検査を受けましょう。
精密検査からは保険診療です
市のがん検診は、病気やがんの可能性を見つけ、適切な医療へ結び付けるための検査(自由診療)です。
精密検査からはご自身の保険証を使って受診(保険診療)していただきます。
「どこで精密検査ができるのか」という声が多くあり、市では、市内で精密検査を実施している医療機関をご案内しております。
かかりつけ医など、普段からよく診てもらっている医師、医療機関や、市外の医療機関で相談、受診することもできます。
なお、市内指定医療機関では、健診(検診)結果を持っていけば「紹介状(診療情報提供書)」なしで精密検査を受診できますが、市外の大規模な医療機関(国公立病院や大学病院など)では、初診時選定療養費がかかる場合があります。
詳しくは 受診する予定の医療機関にお問い合わせください。
がん検診は追跡調査でより良い健診(検診)に
がん検診の結果、『精密検査』と判定された方には、精密検査を実施する医療機関に渡していただきたいハガキ(精密検査結果連絡票。骨粗しょう症検診と前立腺がん検診を除く)が検査結果に付いています。
このハガキに、実施した精密検査の内容や結果を医療機関が記入し、個人を特定できない形で市に返送されます。
市は受け取った結果を記録し、統計的に処理をして、毎年、国や県に報告を行っています。
国(厚生労働省)や都道府県では、市区町村から集まる報告を基に分析が行われます。
この分析結果を専門医が集まる会議において、現在のがん検診の妥当性や今後の方針、目標などが話し合われます。
こうして翌年度以降の新しい基準が定められ、がん検診が改善されていきます。
がん検診がさらに良いものになるよう、精密検査の追跡調査が重要です。ご協力をお願いします。
(コラム)がん検診の追跡調査にご協力を
がん検診で「精密検査が必要」と判定され、精密検査を受けずに3か月を経過すると、精密検査の受診を促す再勧奨ハガキをお送りしています。お早めに精密検査をお受けください。
なお、精密検査を受けた医療機関からハガキ(精密検査結果連絡票)が返送されなかったり、遅れて市に届く場合があります。この場合、市は精密検査を受診されたかわからないため、行き違いで再勧奨ハガキが送られたものですので、悪しからずご了承ください。
精密検査の再勧奨ハガキが届いた方で、すでに精密検査を受診済みの方、精密検査を受診するつもりのない方は、聞き取り調査をさせていただきたいので、お手数ですが、健康管理課(04-2966-5511)までご連絡ください。
この記事に関するお問い合わせ先
健康推進部 健康管理課
〒358-0013 埼玉県入間市上藤沢730-1
電話番号:04-2966-5511
ファクス番号:04-2966-5514
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更新日:2025年04月01日